くすぶる厚労省分割論=強まる官邸主導に懸念も―省庁再編から20年

政治・外交

2001年1月にスタートした中央省庁再編から6日で20年を迎える。政治主導や縦割り行政の打破を目指した改革は一定の成果を挙げた。しかし、不祥事などが絶えない厚生労働省の分割論など省庁再々編の議論はくすぶり続けている。省庁の幹部人事を一元的に扱う内閣人事局など官邸機能の強化への懸念も出ている。

「時代に応じて必要な見直しを図りつつ、今ある行政課題にしっかりと対応できる体制を確保していくことが重要だ」。加藤勝信官房長官は先月24日の記者会見で、厚労省の分割など省庁再々編の可能性についてこう述べるにとどめた。

省庁再編は橋本内閣が取り組み、1府22省庁体制を1府12省庁に見直した。内閣機能を強化するため重要政策の企画立案、総合調整を担う内閣府を新設。旧厚生、労働両省を統合した厚生労働省や、旧運輸、建設両省などを一元化した国土交通省を設け、弊害が指摘された縦割り行政の除去を目指した。

橋本内閣で首相秘書官を務めた立憲民主党の江田憲司代表代行は取材に「縦割り行政の弊害を除去し、首相が指導力を発揮できる道具立てがそろった」と改革を評価した。政府高官は縦割りが解消され、「他省庁と連携が取りやすくなった」と振り返った。

そんな中、自民党内で浮かんでは消えるのが厚労省の分割論だ。同党は18年に将来の厚労省分割の検討を促す提言をまとめた。同省は他省庁に比べ、担当する業務が幅広く、毎月勤労統計に端を発した統計不正問題など不祥事も絶えない。同党ベテランは「新型コロナウイルスなど厚生分野の仕事が増加している。労働分野と切り離した方がいい」と指摘する。

しかし、最近の再編議論は停滞気味だ。与党内には、今は新型コロナ対応を優先させるべきだとの慎重論が少なくない。河野太郎行政改革担当相は会見で、「コロナが落ち着けば議論をテーブルに乗せることは不断にやらなければいけない」と収束後の論議に含みを持たせる。

一方、14年5月に発足した内閣人事局の弊害を指摘する意見が出ている。官邸が各省庁の幹部人事を握り、官僚の間には官邸の意向を忖度(そんたく)する空気が広がっているとの指摘がある。ある自民党幹部は「首相を支える省庁幹部にはイエスマンしかいなくなった」と漏らした。

中央省庁再編後、初めての中央省庁等改革推進本部顧問会議に臨む(左から)橋本龍太郎行政改革担当相、森喜朗首相ら=2001年1月16日、首相官邸中央省庁再編後、初めての中央省庁等改革推進本部顧問会議に臨む(左から)橋本龍太郎行政改革担当相、森喜朗首相ら=2001年1月16日、首相官邸

霞が関の官庁街=2019年5月、東京都千代田区霞が関の官庁街=2019年5月、東京都千代田区

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