免許返納、お試しいかが?=運転控え、割引特典も―専門家「検討に有効」・大阪府警

社会

高齢ドライバーの運転ミスなどによる事故が問題化する中、大阪府警は高齢者に運転を控える生活に取り組んでもらう「返納体験」に力を入れている。府内で試験的に実施したところ、「考えるよい機会になった」と好評で、府警はいつでも体験できる態勢の整備を検討。担当者は「いきなり返納ではなく、体験を通じ段階的に検討してもらうことで自主返納を促したい」と話している。

「返納体験」といっても、まったく運転してはいけないわけではない。免許証は本人が管理したまま、ちょっとした外出など、これまで当たり前のように運転していた場面で自転車に乗ったり、バスなどの公共交通機関を利用したりして「車のない生活」を体感してもらう。

期間中は毎日、運転しなかった感想や、運転した場合の行き先などをチェックシートに記入してもらい、距離や頻度によっては、車の維持費よりもタクシーを利用した方が経済的な場合があることへの理解を促す仕組みだ。

府警は2000円分のタクシーチケットや、期間中に地元商店街で受けられる割引特典を用意。大阪府東大阪市内の70~80代男女に参加を呼び掛け、20年9月、計20人に20日間体験してもらった。1人は体験後に免許を自主返納したという。

「食パンやハムなら自転車でもいいが、大根や玉ネギを買うなら車」。体験した小川清嗣さん(77)にとって、車のない生活は荷物の量や重さがネックになったという。結局、期間中に買い物のほか、妻の通院の送迎などで複数回運転した。

「車で通う習い事などの交遊関係や行動範囲が狭まるかもしれないし」と小川さん。しばらく返納しない考えだが、運転技術の衰えには注意を払うようになったといい、「漠然としていた『返納』を具体的に考えられるようになった」と語った。

東北公益文科大の神田直弥教授(交通心理学)は「免許返納は『車のない不便さ』をどこまで受け入れられるかが鍵」と指摘した上で、「日ごろ車を使う人は、電車やバスといった他の移動手段を利用した生活をイメージしにくい。『返納体験』は実際の返納を検討する上で非常に有効だ」と話している。

大阪府警の運転免許返納体験参加者が記入するチェックシート(府警提供)大阪府警の運転免許返納体験参加者が記入するチェックシート(府警提供)

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