被災地経済、伸び悩み=沿岸部は復興なお遠く―民間主導の成長課題・東北3県

経済・ビジネス

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく10年を迎える。経済的にも大きなダメージを受けた福島、宮城、岩手の3県では、復興に向けた公共投資が成長を押し上げてきた。ただ復興需要はピークを越え、経済は伸び悩みつつある。沿岸部では原発事故の影響も色濃く残り、被災3県は企業など民間部門が主導する自律的な経済成長が課題となっている。

原発事故後、2017年3月に避難指示が一部解除された福島県浪江町。工業団地の整備や飲食店の再開などが進む一方、戻ることを諦めた人たちが住宅を解体し更地も広がる。

同町で飲食店を再開した新妻泰さん(61)は「震災前と比べて売り上げは半分」と漏らす。ただ、町内には震災前とは違う新たな企業も進出しつつある。「今すぐは無理でも、10~30年先にはだいぶ変わると思う」。新妻さんは前を向いた。

被災3県の経済状況を、国の国内総生産(GDP)に当たる県内総生産で見ると、回復が進んできたことが分かる。震災があった11年の3県の県内総生産は、物価変動の影響を除く名目で前年に比べ計7880億円減少。だが翌年からは被災地の復旧・復興工事などで公共投資が大幅に増加し、18年は11年と比べ約3兆9000億円増加した。

もっとも、大和総研エコノミストの鈴木雄大郎氏は「この10年間は公共投資が経済を押し上げており、自律的な成長ではない」と指摘。公共投資の減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20年はマイナス成長が見込まれており、今後の成長のためには「特に産業の回復が必要だ」と強調する。

被害が特に大きかった3県の沿岸部では、県内の他地域と比べても人口の流出が進んでいる。特に福島第1原発周辺では、双葉町など今も一部で残る避難指示の影響が大きく、「復興には程遠い地域が(福島県内には)たくさんある」(植田リサ日銀福島支店長)。政府は新産業の集積などを進めるが、地元への経済効果は未知数だ。岩手銀行の田口幸雄頭取は「被災事業者の半数が震災前の水準まで業績が戻っていない。復興は道半ばだ」と話す。

「国は一律に支援を終えるのではなく、現場を見てめりはりの利いた対応をしてほしい」と福島県商工会議所連合会の渡辺博美会長。福島県経済はいまだ震災前には及ばない地域が多く、新型コロナによる打撃も大きい中で「一番必要なのは働く場だ」と訴えた。

浪江町で「食事処いふ」を営む新妻泰さん=1月28日、福島県浪江町浪江町で「食事処いふ」を営む新妻泰さん=1月28日、福島県浪江町

今なお立ち入りが原則禁止されている「帰還困難区域」前に設けられたバリケード=1月28日、福島県双葉町今なお立ち入りが原則禁止されている「帰還困難区域」前に設けられたバリケード=1月28日、福島県双葉町

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