ワクチン接種、希望しない人も=専門家「冷静判断を」―新型コロナ

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努力義務を課された新型コロナウイルスのワクチン接種への準備が進む中、接種を希望しない人もいる。専門家は「ワクチン理解の促進は急務だ」と話し、行政によるきめ細かい情報提供と、国民の冷静な判断を求める。

関西大の土田昭司教授(安全心理学)は昨年12月、18都道府県の20~60代男女2500人を対象に、ワクチン接種への意識調査を実施。接種を希望したのは47.2%にとどまり、23.7%が接種を望まなかった。

背景について土田氏は、「自分は感染しない」という思い込みや、副反応への恐怖があると指摘。「人は元来、危険に敏感。安全情報より危険が目につくのは自然の流れだ」と理解を示す一方、「正確な情報を基に重症化と副反応をてんびんに掛け、冷静に判断してほしい」と求めた。

政府には、「副反応の確率や、起きてもほとんどが問題ないという海外の事例などを丁寧に示してほしい」と要望。その上で、「最終的には個人の判断になる。接種を希望しない人には、寄り添いながら理解を求めることが重要だ」と話す。

市民対話を重ね、東京都に助言する放送大の奈良由美子教授(リスクコミュニケーション論)は、ワクチンさえ打てば感染しないと考えるなど、一般の誤解はまだ多いと感じている。副反応については、「想定される症状と、相談窓口の設置や救済制度を含めた対応を併せて説明する必要がある」と指摘する。ただ、「救済制度」と聞くことでかえって不安に思う人もおり、説明の仕方が重要だという。

奈良氏は「行政は、市民が何を恐れているのか把握し、ワクチン接種の科学的根拠と副反応時の対応を念入りに伝えなければならない」と話す。接種しない人の自己決定権を尊重することも大事だとして、過度な同調圧力は社会の分断を招きかねないと危ぶむ。

調査した若者の中には、「接種は様子を見る」と話しながら、医療従事者を深く気遣っていた人もいるという。奈良氏は「個人の感染症対策という観点だけでなく、医療従事者のためなど社会全体でどうあるべきか、一歩引いて考えてもらうことも大事だ」と話した。

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