県民衛星、宇宙へ=試行重ね「いよいよ」―産学官連携で全国初・福井

科学 社会 技術 政治・外交

福井県と県内企業などが開発した超小型衛星「すいせん」が20日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる。自治体主導の衛星は全国初。「いよいよ宇宙へ」「無事に打ち上がって」。携わった技術者らは、試行錯誤を重ねた6年越しのプロジェクト結実の瞬間を、固唾をのんで見守っている。

ロシアのソユーズロケットで打ち上げられるすいせんは縦横60センチ、高さ80センチで、重量は100キロ。送られてくる画像を、災害時の土砂崩れや河川氾濫の把握などに活用する。製造やデータ活用の知見を集積し、新たな産業の柱を育てるのが狙いだ。

人口減少や高齢化が進む中、地域経済をどう活性化させるか。県民衛星プロジェクトは、こうした課題解決の糸口として始まった。県産業技術課の担当者は「(地場産業の)眼鏡や繊維で培ったものづくりの技術を生かせると思った」と振り返る。

2015年、県内企業の技術者を衛星研究が進む東京大に送り、設計や製造に関する研修を受けてもらった。さらに、県内企業9社などと共同で県民衛星技術研究組合を設立。衛星の製造とデータ利活用という二つのテーマで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの協力を得ながら産学官連携を本格化させた。

「最初は聞いたことのない単語ばかりだった」と振り返るのは、眼鏡用加工機械などを手掛ける「鯖江精機」(越前町)の大久保清吾さん(40)。ピンセットを使った組み立て作業や、激しい振動を想定した耐久試験を繰り返すなど、「試行錯誤しながら知見を集めた」という。

すいせんは、冬の厳しい寒さを耐え抜いて咲く県花「水仙」にちなんで名付けられた。昨年9月までに打ち上げる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期に。それだけに、県民の期待もひとしおだ。

衛星製造の中心的役割を担った繊維メーカー「セーレン」(福井市)の主管中村博一さん(45)は「今後、参加企業を増やし、新たな産業につなげたい」と話している。

県民衛星「すいせん」のイメージ図(福井県産業技術課提供)県民衛星「すいせん」のイメージ図(福井県産業技術課提供)

県民衛星の模型を持って笑顔を見せる鯖江精機の大久保清吾さん(右)とセーレンの中村博一さん=12日午前、福井県越前町県民衛星の模型を持って笑顔を見せる鯖江精機の大久保清吾さん(右)とセーレンの中村博一さん=12日午前、福井県越前町

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 科学 宇宙 技術 社会 その他政策(社会面向け) 日本 北陸 福井県 福井市