政府、対中制裁に慎重=ウイグル問題、欧米と温度差

政治・外交

日本政府は、新疆ウイグル自治区での人権侵害をめぐる対中国制裁には慎重な立場だ。米国や欧州連合(EU)などがそろって踏み切ったが、距離を置いている。4月に予定される日米首脳会談では、人権問題で中国批判を強める米国との温度差が浮き彫りとなる可能性もある。

加藤勝信官房長官は23日の記者会見で、「人権問題のみを直接あるいは明示的な理由として制裁を実施する規定はない」と指摘。外国人に資産凍結などの経済制裁を科す外為法の要件を引き合いに説明した。

同法は制裁の要件として、「国際平和のための国際的な努力に寄与する」「わが国の平和および安全の維持」などを規定。加藤氏は同自治区での人権弾圧について、これらの要件に該当しないとの認識を示した形だ。

日本が「深刻な懸念」を表明しつつも制裁に慎重なのは、欧米と比べ中国と地理的に近いことや、経済的な結び付きが強いことがある。政府関係者は「経済的な報復の可能性もある」と警戒する。

茂木敏充外相は23日の参院外交防衛委員会で「『この価値観に従え』ということよりも、いかに皆が共有できる価値観をつくっていくかが重要だ」と指摘。人権問題をてこに他国に圧力をかける欧米諸国との立場の違いを鮮明にした。

菅義偉首相は23日、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談し、自身の訪米について、「日米同盟の基礎をしっかり固めたい」と強調した。米国は対中制裁に際し、日本に同調を迫らなかったが、外務省幹部は「本当は日本にも足並みをそろえてほしいのだろう」と推測する。首相は日米首脳会談で、バイデン大統領と価値観の共有を国内外に示せるかどうか問われそうだ。

記者会見する加藤勝信官房長官=23日、首相官邸記者会見する加藤勝信官房長官=23日、首相官邸

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