沖縄の文化支え40年=品ぞろえと仕入れに信頼―古書店主「まだ活躍の余地」

社会

奄美・沖縄関連書籍、いわゆる「沖縄本」の聖地と呼ばれる専門古書店が今年、開業40周年を迎えた。圧倒的な品ぞろえで「沖縄の文化の一部を支えている」と評される沖縄県宜野湾市の「BOOKSじのん」。店長の天久斉さん(61)は「郷土史研究がされ尽くしていない沖縄には、まだ古本屋が活躍できる余地がある」と話し、生涯現役を貫くつもりだ。

「じのん」は沖縄方言で宜野湾のこと。天久さんは、1981年の開業翌年にアルバイトとして入った。初めは沖縄本もジャンルの一つにすぎなかったが、インターネットの普及で市場が全国に広がると、高単価な沖縄本が経営を支えるようになった。

店の書棚には貴重な絶版本や行政資料、自費出版本などが並ぶ。「数えたことはないが、保有するのは約15万~20万冊」と天久さん。うち半分が沖縄本という。「ありますかと聞かれたら、ありますと答えたい」との一心で収集に努めてきた。

特に重視するのは、顧客の求める書籍を全国から探し出すサービスだ。在庫がない書籍を「探求書」と呼び、大手通販サイトから同業者の棚まで目を光らせる。入手に5年かかり、依頼を忘れていた顧客に苦笑されたこともある。

地道な積み重ねが、「利用したことのない沖縄関連の研究者や文筆家はいない」との評判を築き上げた。琉球史研究家の第一人者で、沖縄県副知事も務めた高良倉吉琉球大名誉教授は「図書館での閲覧ではなく、資料を手元に置きたい研究者は多い」と指摘。じのんについて、「沖縄本専門を貫く持続力は偉大だ」と称賛を惜しまず、国内外の研究者にも店を紹介してきたという。

沖縄では近年、県外からの移住者を中心に古書店を始める動きが目立つが、専門書を扱える店は限られる。天久さんは「10年以上売れない本も珍しくない」と笑い、「たった1行の必要な記述を探して資料を調べる研究者ら『堅い客』を支える喜びを味わってほしい」と、後進への期待も口にした。

古書店「BOOKSじのん」で沖縄本に囲まれる店長の天久斉さん。店を「買える図書館、買える資料館」と語る=2月19日、沖縄県宜野湾市古書店「BOOKSじのん」で沖縄本に囲まれる店長の天久斉さん。店を「買える図書館、買える資料館」と語る=2月19日、沖縄県宜野湾市

「BOOKSじのん」にずらりと並ぶ沖縄本。店長の天久斉さんは本の位置を記憶し、客に求められれば瞬時に取り出すことができる=2月19日、沖縄県宜野湾市「BOOKSじのん」にずらりと並ぶ沖縄本。店長の天久斉さんは本の位置を記憶し、客に求められれば瞬時に取り出すことができる=2月19日、沖縄県宜野湾市

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