ベトナム実習生、再就職相談増加=強いられる「辞職」も―コロナ禍で問題浮き彫り

社会

新型コロナウイルスの影響で失職したベトナム人技能実習生から、支援団体への再就職の相談が増加している。実習生らを支援するNPO法人「日越ともいき支援会」(東京都)には昨年9月以降、400人以上が相談しているという。

同会の吉水慈豊代表によると、実習先の企業に「辞職」を強いられた実習中断者か失踪者が半数以上を占める。吉水さんは「便利な労働力として扱う企業やコミュニケーションの不足など、コロナ禍で問題が浮き彫りになっている」と話す。

2019年4月に来日し、今年1月まで徳島県のスーパーで働いていたベトナム人実習生グエン・ティ・ゴック・アィンさん(20)は、県外への外出を発端に辞職へ追い込まれた。実習先の会社は新型コロナ対策として県外外出自粛を決めたが、アィンさんは知らされていなかったと主張する。

「ルールを破ったから辞職しなさい」。会社に迫られ、驚きと困惑の中、県外外出を理由に2週間の隔離生活を強いられた。その後、提示されたのは「意思に反して技能実習を中止するものではない」と記された確認書。大声でサインを求められ、「もうここでは働けない」と諦めたと、アィンさんは涙ながらに振り返る。

実習生の受け入れ窓口となり、監督や保護も担う監理団体の担当者は、アィンさん本人の申し出を受けた意思確認だったと説明する。担当者は「双方の不信が拭えず、残念な結果になってしまった」と話した。

同会の支援の結果、アィンさんは在留資格の変更が認められる見込みで、今年4月にも長野・軽井沢のレストランで調理室に立つ。「一生懸命頑張りたい。学んだ技術を生かして将来、地元で日本料理のレストランを開きたい」と語った。

吉水さんによると、実習の中断や失踪をした実習生には、経営不振の実習先から「帰国しないのか」と耳元で連日ささやかれたり、説明なく給料を半減されたりした人などがいる。法律は、実習生を労働力の調整弁としてはならないと定めている。吉水さんは「企業側が実習生に自ら辞めるように仕向けている。事実上の解雇だ」と訴えた。

取材に応じるベトナム人技能実習生のグエン・ティ・ゴック・アィンさん=5日、東京都港区取材に応じるベトナム人技能実習生のグエン・ティ・ゴック・アィンさん=5日、東京都港区

ベトナム人技能実習生が勤務先から提示された意思確認書=8日ベトナム人技能実習生が勤務先から提示された意思確認書=8日

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