菅首相訪米、焦点に「人権」浮上=慎重姿勢に内外から圧力

政治・外交

16日に行われる日米首脳会談で、「人権外交」が焦点の一つに浮上している。バイデン米政権は、中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害に制裁を主導。欧州などが足並みをそろえた。日本でも与野党から人権問題により積極的に取り組むよう求める声が高まっており、菅義偉首相は対応を迫られている。

首相はバイデン氏が迎える初の外国首脳として、15~18日の日程で訪米を調整。16日に首脳会談を行う。気候変動や安全保障、経済など多岐にわたる会談テーマの中で、にわかに関心を集めているのが中国政府による人権侵害だ。

米政府は今年、ウイグル族への迫害を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定し、関与した中国当局者への制裁に踏み切った。国家安全維持法や選挙制度見直しによる香港への統制強化にも、香港警察当局者らを制裁対象に指定した。米国の対応に英国やカナダ、欧州連合(EU)も追随し、先進7カ国(G7)で対中制裁の輪に加わっていないのは今や日本だけだ。

日本政府が制裁に二の足を踏むのは、「一衣帯水の隣国」で最大級の貿易相手国である中国との対立激化は避けたいからだ。首相周辺は「口で非難できても、行動は起こせない」と吐露する。

人権侵害だけを理由に他国の当局者に制裁を科す法律を持たない日本の事情もある。米国は、人権侵害を行った個人や団体に資産凍結などができる「マグニツキー法」があり、EUも昨年、同様の制度を導入した。

中国の人権侵害がクローズアップされる中、日本でも法整備を求める動きが出始めている。昨年設立された超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」は、日本版マグニツキー法の整備を政府に求めた。自民党外交部会の「人権外交プロジェクトチーム」も、日本ウイグル協会などから中国国内の人権状況を聞き取り、近く政府に提言を出す予定だ。

政府関係者は「米国はより強い態度表明を日本に求めてきている」と明かす。菅首相は1日のテレビ東京番組で「日米は自由、人権、法の支配について一致している」と強調したが、普遍的価値を重視するバイデン政権の期待にどこまで応えられるか、人権問題への日本の姿勢が問われている。

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