五輪へ突き進む菅政権=コロナ再拡大、逆風懸念も

政治・外交

東京五輪は14日で開幕まで100日となった。菅政権は新型コロナウイルス対策に万全を期し、「安全・安心な大会」(菅義偉首相)を実現させる目標を堅持する。「中止」の2文字は念頭にないようだ。ただ、国内の新規感染者の伸びは想定を超える厳しさ。3度目の緊急事態宣言発令などに追い込まれれば、五輪開催に「赤信号」がともりかねない。

首相はかねて五輪を「東日本大震災から復興する姿を示し、人類が新型コロナに打ち勝った証しとなる大会にしたい」と述べ、開催への強い決意を内外に示してきた。「完全な形」での開催は困難視されているが、官邸幹部は「いずれにしろ五輪はやる」と中止論を打ち消す。

一方で五輪の影響で感染再拡大を招けば、政治責任を問われ、秋までに行われる衆院選に逆風となる可能性もある。逆に五輪中止なら、政府のコロナ対策は失敗とみなされかねない。衆院議員の任期満了は10月、首相の自民党総裁任期は9月で切れる。党内には「中止なら『菅離れ』が一気に進むだろう」(中堅)との声も漏れる。

◇「まん延防止」効果焦点

東京都の新規感染者は増加傾向が止まらず、5月11日までのまん延防止等重点措置によって抑え込めるかが焦点。重点措置の対象区域は、競技会場が集中する23区に加え、サッカー会場の「東京スタジアム」がある調布市なども含まれ、感染対策は五輪の成否に直結する。

加藤勝信官房長官は14日の記者会見で、東京の重点措置が延長されたり、宣言が三たび発令されたりした場合でも五輪を実施するか問われたのに対し、「内外の感染状況を注視しつつ、都などと緊密に連携を図りながら大会の開催に向けた準備を進めていきたい」と述べるにとどめた。

◇五輪外交見通せず

そもそも五輪へ向けた機運は聖火リレー縮小などの影響もあり、盛り上がりに欠く。水際対策強化で海外からの観客受け入れも断念し、首脳ら外国賓客の来日も不透明。五輪を、衆院選をにらんだ首脳外交のアピールの場として期待していたが、首脳会合の実現も見通せない。

国会日程を優先し、3月25日の聖火リレー出発式への参加を見合わせた首相は、7月23日に国立競技場(東京)で行われる開会式には出席する意向だ。五輪の成功を「切り札」に衆院解散に持ち込むのが首相の基本戦略とみられる。

ただ、コロナワクチン接種も高齢者向けにようやく始まったばかりで、夏までの感染収束は見通せない。政府高官は「五輪の時に(感染状況が)どうなっているかなんて分からない」と淡々と語った。

参院本会議で答弁する菅義偉首相=14日、国会内参院本会議で答弁する菅義偉首相=14日、国会内

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