中韓との協力は「実利」=目を背けずアンテナを―三国協力事務局長インタビュー

政治・外交

日中韓の協力を推進する国際機構「日中韓三国協力事務局」(事務局ソウル)の道上尚史事務局長が時事通信のインタビューに応じ、歴史問題などで対立を抱える中でも、中韓との実務協力を進めることが日本の「実利」になると強調し、3国の協力枠組みを活用するよう訴えた。一問一答は次の通り。

―三国事務局が発足して今年9月に10年を迎える。これまでの活動は?

発足後の組織整備の時期を経て、この5年間は日中韓協力に実質的な貢献ができるようになってきた。日本では三国事務局の知名度は低いが、日中韓には21もの閣僚級会合があり、協力に向けた活発なやりとりを行っている。新型コロナウイルス問題でも保健担当相会合などいくつかの閣僚級会合を開いた。

―日本では中韓との協力は日本側の一方的な「持ち出し」ではないかという懸念がある。

環境や高齢化対策、防災などは日本が先んじており、中韓は熱心に学ぶ姿勢だ。日本のアピールになっている。同時に中韓は極めて速いスピードで行政能力を向上させている。例えば韓国では全国民の医療データが一元的に管理されているが、日本にはない。デジタル行政でも特許法制でも韓国が進んでいる部分がある。日本は日進月歩で成長する中韓から目を背けては損をするだけ。アンテナを張り、参考にすべきところはするのが実利だ。

―民間で中韓が進んでいる分野は。

映画の場合、30~40年前は日本が中韓の「先生」だったが、今や中韓は米国をはじめ世界のマーケットを視野に入れ、人脈も実績もある。日本は外に目を向けておらず、日本の専門家も「中韓の制作者と交流し、刺激を受けるべきだ」と訴えている。

―日中韓には歴史や安全保障で対立もある。

外交・安保分野で対立があるのは事実だが、それとは別に各国とも環境や高齢化、防災など切実な問題も抱える。官民多くの分野で協力に向けたニーズがあり、対話の枠組みは有用だ。

―日韓関係が悪化している。

かつては韓国が日本に不満を持つ構図だったが、この10年来それが逆転している。日本側は韓国に失望し、憤慨しているが、韓国人の多くはそれを理解していない。日本の韓国離れも強く感じる。日本は外交・安保で言うべきことはしっかり言うべきだ。同時に中韓をよくウオッチし、総合的に把握した方がよい。「嫌いだから」と目を背けるのは得策でない。

インタビューに応える日中韓三国協力事務局の道上尚史事務局長=16日、ソウルインタビューに応える日中韓三国協力事務局の道上尚史事務局長=16日、ソウル

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