B型肝炎、患者が逆転勝訴=損害賠償、起算点は「再発時」―救済進展へ・最高裁

社会

集団予防接種が原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、その後再発した患者2人が、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が26日、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)であった。三浦裁判長は損害賠償請求権が20年で消滅する「除斥期間」を理由に患者側敗訴とした二審福岡高裁判決を破棄、除斥期間の起算点を再発時と判断し、賠償額算定のため審理を高裁に差し戻した。

同種訴訟は全国で111人が係争中。賠償請求できる期間を広げる判断が示されたことで、救済が進みそうだ。

裁判官4人全員一致の意見。同小法廷は、原告の再発時の症状について「特異なもので、どのような場合に発症するか現在の医学ではまだ解明されていない」と指摘。最初の発症時と再発時の損害は質的に異なることから、除斥期間の起算点を再発時と結論付けた。

三浦裁判長は「長期にわたる被害の実情を鑑みると、全体的な解決を図るため、救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待する」とし、国に対応を求める補足意見を付けた。

特別措置法に基づいた国の救済制度では、国を相手取った訴訟で和解すると、慢性肝炎は1250万円が給付されるが、除斥期間が過ぎて提訴すると300万~150万円に減額される。

原告の60代男性2人は、幼少時の予防接種でB型肝炎ウイルスに感染し、20年以上前に慢性肝炎を発症。いったん沈静化した後に再発し提訴した。国側はいずれにも300万円を提示し、和解が成立せず裁判で争われた。

一審福岡地裁は2017年12月、起算点を再発時とし、原告側の請求通りそれぞれ1250万円の賠償を命じた。二審福岡高裁は19年4月、起算点を発症時と判断し、患者側の逆転敗訴とした。

厚生労働省B型肝炎訴訟対策室の話 判決を分析し、関係省庁と協議の上、適切に対応する。

B型肝炎再発訴訟の最高裁判決を受け、「逆転勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告団ら=26日午後、東京都千代田区の最高裁前B型肝炎再発訴訟の最高裁判決を受け、「逆転勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告団ら=26日午後、東京都千代田区の最高裁前

B型肝炎再発訴訟の最高裁判決を受け、心境を語る原告の男性(右端)=26日午後、東京都千代田区の最高裁前B型肝炎再発訴訟の最高裁判決を受け、心境を語る原告の男性(右端)=26日午後、東京都千代田区の最高裁前

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