広がり、そして共生へ=金メダリスト杉村の願い―ボッチャ〔パラリンピック〕

スポーツ 東京2020

東京パラリンピックのボッチャ個人で金メダルに輝いた杉村英孝(39)=伊豆介護センター=は力を込める。「障害があってもなくても関係ないと思えるきっかけが、この大会で生まれればうれしい」。ボッチャを普及させ、大会の理念でもある共生社会実現への一助となることが願いだ。

ボッチャは脳性まひなど重度の四肢障害がある人のために考案された。杉村自身は脳性まひで両手両足が自由に動かない。競技を始めた頃は社会とつながるための「ツール」にすぎなかったが、技術を身に付けるうちに「誰でも楽しめる」という最大の魅力に気付いた。時には自ら学校に出向いて体験会を開催するなど、試合場の外でも発信を続ける。

東京大会開幕を前に、杉村はこんな話をしていた。「障害者だから頑張っているとか、障害者なのにすごいとか。自分は好きじゃない」。いざ試合になれば、「普通のアスリート」として技を見てほしい―。これが多くの人に伝えたい一番のメッセージだった。

1日に金メダルが決まった瞬間はテレビで中継され、翌日の新聞の1面に記事が載った。「誰もがみんな、同じステージで楽しめるスポーツ。世界中に広がってもらいたい」。今こそ、世間のボッチャへの関心が高まる好機だと考えている。

最近は民間企業に「ボッチャ部」ができるなど、年齢や性別、障害の有無を問わず、人気はじわりと広がる。「すごい、面白い、かっこいい。どんなことでもいい。このメダルが効果になれば」。パラリンピックのボッチャで日本が初めて獲得した「金」は、たくさんの価値と可能性が詰まったメダルでもあった。(了)

ボッチャ個人(脳性まひBC2)決勝、狙いを定める杉村英孝=1日、有明体操競技場ボッチャ個人(脳性まひBC2)決勝、狙いを定める杉村英孝=1日、有明体操競技場

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