黒星こそ原動力=弱さ見詰め続けた国枝―車いすテニス〔パラリンピック〕

スポーツ 東京2020

車いすテニス男子の国枝慎吾(ユニクロ)が9年ぶりにパラリンピックのシングルス決勝で輝いた。自国開催の日本選手団主将で金メダルを獲得。最高の舞台で念願をかなえられたのは、己の弱さと誠実に向き合い続けたからだ。

20年前にデビューし、今や第一人者となっても前進できる原動力は黒星にこそある。敗戦後のロッカールームでうなだれて動けず、トイレや風呂場に入れば叫び、「何をやっているんだ」と自分を責める。帰りの飛行機でも目を向けるのは、負けた一戦の映像。トップを極めても続く習慣だ。

2017年の全仏オープン準決勝で英国の若手に屈した翌日、早速フォーム改善の練習に取り組んだ。当時は古傷を抱える右肘に痛みが出ない打ち方を模索する途上。すぐに成果に表れず、投げ出したくなることもあったろう。それでも、課題から目を背けない。

現状維持を嫌い、進み続ける覚悟と自負を「チェンジ・オア・ダイ(変化か死か)」という口癖で表した。ラケットに刻む「俺は最強だ」という代名詞を、今も掲げられるだけの準備をした。

前回リオデジャネイロでシングルス3連覇を逃した後、けがを克服し、再起への手だてを得るために進んだ道のり。打球がネットにも届かない状態からの出直しを「濃密な5年を過ごした」と言える。苦難の末にたどり着いた頂点。脚光を浴びる背中は大きかった。(了)

車いすテニス男子シングルス決勝でプレーする国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルス決勝でプレーする国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園

車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得し、雄たけびを上げる国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得し、雄たけびを上げる国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園

車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得した国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得した国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース スポーツ テニス 日本 パラリンピック 東京五輪・パラリンピック