柔軟な体、王者の対応力=国枝、涙の金メダル―車いすテニス〔パラリンピック〕

スポーツ 東京2020

万感の思いが涙になる。車いすテニス男子シングルスで、国枝慎吾(ユニクロ)がパラリンピック王者に返り咲いた。「一生分泣いた」。身にまとった日の丸に顔をうずめ、男泣きした。

相手のトム・エフベリンク(オランダ)は、新型コロナウイルスの影響で大会が1年延期された間に肘を手術して不安を解消し、格上を破って決勝まできた。油断はできない。強烈なサーブと鋭いスライスもやっかいだ。その難敵から、国枝は世界最高峰の対応力で主導権を奪った。

エフベリンクに左右に振られても、持ち前の素早い車いすさばきでボールを拾い、順回転をかけたバックハンドを放った。これが相手コート深くに入ると、自分が前に出る時間を稼げる。この5年で洗練させてきたネットプレーを繰り出し、反撃の余地を与えなかった。

体勢を崩されても正確に力強い返球ができるテニスは、生まれ持った柔軟性があってこそ。前回のリオデジャネイロ大会後からトレーナーを務める北嶋一紀さんによると、国枝は背骨の柔軟性が群を抜いている。このため「ラケットを伸ばしてもショットが乱れない。天性のものだ」。世界トップレベルの車いすさばきも、肩甲骨の可動域が広いからなせる技だ。

右肘の痛みとも闘ったこの5年の復活劇。国枝は「99.9%信じられなかった」と言った。パラリンピックで単複合わせて4個目の金メダル。男子では歴代単独最多となる。第一人者を彩るのにふさわしい新たな記録だ。(了)

車いすテニス男子シングルス決勝で金メダルを獲得し、感極まる国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルス決勝で金メダルを獲得し、感極まる国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園

車いすテニス男子シングルス決勝でプレーする国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルス決勝でプレーする国枝慎吾=4日、有明テニスの森公園

車いすテニス男子シングルス決勝を終え、健闘をたたえ合う優勝した国枝慎吾(左)とオランダのエフベリンク=4日、有明テニスの森公園車いすテニス男子シングルス決勝を終え、健闘をたたえ合う優勝した国枝慎吾(左)とオランダのエフベリンク=4日、有明テニスの森公園

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース スポーツ テニス 日本 オランダ パラリンピック 東京五輪・パラリンピック 五輪・パラリンピックメダル