高まる共生、踏み出す未来=「生きづらさ」変わる契機―東京パラ〔パラリンピック〕

社会 東京2020

東京パラリンピックは5日、共生社会への機運の高まりの中で幕を閉じた。パラリンピアンの多くは変化の風を感じ取り、開かれた社会の到来を見詰める。

「障害者同士の結婚は生きづらいなと思った」。柔道男子90キロ級の広瀬悠選手(42)は2015年、女子57キロ級の順子選手(30)と結婚したが、「住宅ローンや生命保険など全部門前払いだった」と明かす。

ところが、大会が近づくにつれて「障害者というだけで話すら聞いてもらえない」状況は一変。「障害者同士で結婚した周囲の人もローンが通ったり、入れる保険も増えたりした。東京大会のおかげじゃないかと思うぐらい、ここ数年で変わった」と振り返る。

柔道男子100キロ級の松本義和選手(59)は「全盲になって40年たつが、10年単位で世の中は暮らしやすくなっている」と話す。一昔前は店に1人で入ると緊張感が伝わってきたが「今はコンビニでも普通に接してくれる」と変化を感じている。

「F1技術が一般社会に生かされるように世の中のプラスになるのは、すてきなこと」と語るのは、パラ陸上界で「車いすの鉄人」と呼ばれる伊藤智也選手(58)だ。先端ロボット開発などを手掛ける杉原行里社長(39)らと競技用車いすの開発に挑んだ過程で、着座姿勢の測定システムが生まれた。現在、頸髄(けいずい)損傷者を対象に国立障害者リハビリテーションセンターで実証実験が行われている。

伊藤さんはテクノロジーの多様性を目の当たりにし、「そのスタートに私があったことは誇り高い」と言う。

車いすを利用するパラカヌーの瀬立モニカ選手(23)は「まだ外の社会に出ていない人がすごくいる」と感じる。かつては自分もそうだったが、東京大会が「生きる希望」になった。生き生きとプレーするアスリートの姿を通じ、一歩外に踏み出す契機になればと願う。

閉会式で掲揚される日本国旗とパラリンピック旗=5日、国立競技場閉会式で掲揚される日本国旗とパラリンピック旗=5日、国立競技場

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