幅広い層がメダル獲得=東京パラ・記者座談会〔パラリンピック〕

スポーツ 東京2020

5日まで13日間行われた東京パラリンピックは新型コロナウイルス感染拡大の中、原則無観客で開催された。日本選手を中心に、障害のある選手のひたむきなプレーが画面越しに見た人の心を揺さぶった。取材に当たった時事通信の担当記者が大会を振り返る。

◇伝わった競技の魅力

A 日本選手団は金13個を含めてメダル51個を獲得した。パラリンピックの意義はメダルだけではないとは思うが、アテネ大会に次ぐ好成績。競技面では、金なしだった前回に比べると大成功だった。

B 競泳では14歳の山田美幸(WS新潟)が最年少メダリストとなり、自転車では50歳の杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)が最年長のメダリストになった。幅広い層がパラスポーツに取り組んでいるということが分かる。

C 競技レベルも向上が目覚ましい。クラス分けが細分化しているとはいえ、記録を見ても陸上や競泳で多くの世界新記録が誕生した。

B 選手団主将の国枝慎吾(ユニクロ)が金メダルで涙を流したのは印象深い。新競技として加わったバドミントンも、メダルラッシュだった。

D パラリンピックの取材は初めてだったが、競技の面白さが伝わってきた。ハンディがあっても精密で強度の高い動きができるんだ、と驚きの連続だった。ボッチャやゴールボールのように五輪にはない競技にも魅力を感じた。

A だからこそ、コロナ禍の真っただ中での開催となったのは残念。テレビなどで見ることはできたのかもしれないが、多くの子どもに生でパラスポーツの魅力を感じてほしかった。

D 会場には表彰式のプレゼンターとして関係者が来ているのをよく見たが、選手と記念写真を撮っている姿には、少し疑問を感じた。

C 東京五輪ではプレッシャーがかかる選手の精神面がフォーカスされた。抱える障害によっては、心身を整えることに困難を感じる選手もいることを忘れてはいけない。

A パラリンピックで活躍した選手を特別だと捉えるのではなく、大会をきっかけに障害のある人がスポーツをすることが当たり前になっていってほしい。

◇スタッフに好印象=ハード面は課題も

A 運営面で言うとボランティアやスタッフの働きは素晴らしかった。暑さが厳しい中で、頭が下がる思いだった。コロナ禍で複雑な思いで参加した人もいたというが、「最高の大会をつくる」という心意気を感じた。

B 競技を終えた選手を拍手で見送る姿が見られた。海外勢にも好印象を持たれていたようだ。ただ、団体球技などで応援が日本に偏っていたのはどう思われたのかな…。

C 五輪に比べると、競技会場には海外メディアの姿は少なく、ちょっと寂しい雰囲気があった。その半面、取材エリアで距離を取るといったコロナ対策はしっかりしていたと思う。

A 五輪からの蓄積があったのだろうが、他のオペレーションもスムーズにできていたように思う。

B ただ、選手や関係者とみられる人が、大きな声を出して仲間を応援していた。五輪でも同じ光景が見られたけど、しっかり注意喚起されていたのだろうか。

D ゴールボールでは対策のために使われた消毒液に滑りやすくなる成分が含まれていたことがあった。その影響か、日本選手が滑って負傷してしまった。

B 大会組織委員会が謝罪したのは1週間以上たってからだった。選手村では巡回バスと視覚障害のある選手の事故があったが、これも対応が遅かった。

C 一部の会場で、五輪の時に比べてセキュリティーチェックが変わっていたのも気になった。金属探知機が使用されなくなるなど、甘くなっていた印象がある。

A 障害のある人が移動しにくい会場内のルートは、五輪の時から変わっていなかった。特に古い施設ではルートがあっても距離が長過ぎたり、スロープが急過ぎたり…。

D 足に障害のある人のことを思えば、消毒液のポンプが足踏み式ばかりだったのも気になった。全体的にスタッフの気遣いは感じられたのだが、施設などのハード面が追い付いていない印象だった。(了)

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