脱炭素実現、国際公約に=政策の裏付け乏しく―菅政権

政治・外交

菅義偉政権の看板政策の一つが、「脱炭素社会」の実現だった。発足直後の昨年10月、菅首相は温室効果ガスの排出量について、2050年までに実質ゼロを目指すと宣言。今年4月の気候変動サミットでは、30年度の温室効果ガス削減目標をそれまでの「13年度比26%減」から「46%減」まで大幅に引き上げる国際公約も示した。しかし、政治主導で打ち出したこれら公約には、達成に必要な政策の裏付けが乏しい。

例えば、温室効果ガス「46%減」は、電力の大半を石炭や液化天然ガスに頼る日本の実情からみてかなり高い目標。三菱総合研究所は「現状の対策を延長しただけの場合、30年の削減幅は最大でも28%にとどまる」と試算する。

達成に向け、経済産業省は「エネルギー基本計画」案で30年度の電源構成を見直し、太陽光など再生可能エネルギーの比率を36~38%(現行計画は22~24%)に引き上げた。しかし、この目標も「民間も含め相当な努力と技術革新がなければ達成は難しい」(幹部)水準。発電時に温室効果ガスを出さない原発についても、安全性への不信が根強く、新増設や建て替え方針は明記しなかった。

菅政権はこのほか、ガソリンエンジンのみで走る新車の販売を35年に禁止する方針を表明。脱炭素化へ革新的な研究開発を行う企業を支援する2兆円基金も創設したが、いずれも実現に向けた絵が描けているわけではない。

脱炭素へ掲げられた野心的な公約は、「政権が代わろうとも、国としての約束」(梶山弘志経産相)として残る。実現に向け、次期政権には具体的な施策と継続性が問われることになる。

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