裁判受けさせず送還「違憲」、国に賠償命令=スリランカ人男性、逆転勝訴―東京高裁

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スリランカ人男性2人が難民不認定処分を受けた後、入管から訴訟を起こす時間を与えられずに強制送還させられたとして、国を相手取り計1000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。平田豊裁判長は入管職員の対応について「憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害し、国家賠償法の適用上、違法になる」として請求を棄却した一審判決を変更、計60万円の賠償を命じた。

男性の代理人弁護士によると、外国人の強制送還をめぐり、違憲判決が出たのは初めて。訴訟できないまま送還されるケースは少なくなく、判決は入管の姿勢にも影響を与えそうだ。

判決などによると、男性2人は1999年と2005年、それぞれ日本に入国。在留期間を超えて滞在したとして難民不認定処分を受けて入管施設に収容されたが、一時的に身柄拘束を解く「仮放免許可」で出所した。14年12月に許可更新のために東京入国管理局を訪れたところ、不許可を通知されて施設に再収容された。

異議申し立ても棄却され、収容翌日に羽田空港から強制送還された。2人は処分取り消しを求める訴訟を起こす意思があったが、棄却決定の告知が送還直前だったため、時間的な余裕が与えられなかった。

平田裁判長は、棄却決定の告知を強制送還直前とした入管の対応は送還を円滑に実施するためで、「意図的に遅らせた」と認定。告知後に第三者との連絡も事実上認めずに送還したことは「司法審査を受ける機会を実質的に奪い、憲法に違反する」と結論付けた。

国側は、2人の異議申し立ては権利の乱用で救済の必要性に乏しいと主張したが、同裁判長は「司法審査を受ける機会の保障とは別問題。機会を奪うことが許容されるものではない」と退けた。

スリランカ人男性に入管職員が強制送還を伝えた場面とみられるパソコン映像を示す代理人弁護士=22日午後、東京都千代田区スリランカ人男性に入管職員が強制送還を伝えた場面とみられるパソコン映像を示す代理人弁護士=22日午後、東京都千代田区

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