出版、ネットの掲載認めず=プライバシー侵害認定―同和地区のリスト公表・東京地裁

社会

川崎市の出版社が同和地区の地名リストの出版を計画し、ウェブサイト上にデータを公表したとして、部落解放同盟と同和地区の住民ら計234人が同社と代表らを相手取り、出版差し止めやサイト削除などを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。成田晋司裁判長は大半の原告に対するプライバシー侵害を認め、差し止めや削除を命じた。

差し止めや削除の対象となった地名リストは関東信越や近畿、中国、四国、九州の25都府県。原告の権利侵害が認められなかった富山や三重などの6県は対象外とした。

成田裁判長は、個人の住所や本籍が地名リストにあることは他人に知られたくない情報としてプライバシーに属すると認定。結婚や就職などの際に本籍を開示しないのは困難で、差別しようとする人がリストと照合して簡単に知ることができるようになると指摘した。リスト公開に公益目的はなく、「プライバシーを違法に侵害する」と結論付けた。

出版社側は同和地区の研究や表現の自由が侵害されると訴えたほか、差別解消のために公表が必要と主張。裁判長は自由が制限されるとは言えず、差別解消に公表が有益と認められる証拠もないとして採用しなかった。

一方で、原告が住所や本籍を不特定多数の人に知られることを容認していたり、現住所などがリストに含まれなかったりする場合はプライバシー侵害を認めなかった。原告側は「差別されない権利」が侵害されたと訴えたが、「内容が不明確」として退けた。

原告側は代表らに対し損害賠償も求め、裁判長は計約490万円の支払いを命じた。

同和地区の地名リスト出版の差し止めなどを求めた訴訟の判決後、記者会見する原告=27日午後、東京都千代田区同和地区の地名リスト出版の差し止めなどを求めた訴訟の判決後、記者会見する原告=27日午後、東京都千代田区

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