譲れぬ「旧民主」対決=自民移籍組、迎え撃つ元首相―東京18区【注目区を行く】

政治・外交

「7回目の選挙。初づくしだ」。自民党候補の長島昭久は17日、新天地である東京18区のJR武蔵小金井駅前に立つと「初挑戦」を強調した。旧民主党出身で隣接する東京21区から国替えし、出直しを図る長島。対抗馬は同じ旧民主出身で当選13回を誇る立憲民主党の元首相菅直人だ。菅も議席を明け渡す気はない。互いに譲れぬ戦いが始まった。(敬称略)

◇恩人

長島の初当選は2003年衆院選。出馬した東京21区は、中選挙区時代の菅の地盤の一部だった。選挙戦最終日には菅が応援に駆け付け、マイクを握り長島支持を訴えたこともある。長島にとって菅は元同僚議員というだけでなく、自らの政界入りを後押ししてくれた恩人でもあった。

以来当選6回。17年に旧民進党を離れるまで菅とは同じ党で行動を共にした。希望の党結党に参画し、無所属を経て19年6月に自民党に入党。東京21区には自身が前回選挙で下し、比例代表で復活当選した自民党現職がいるため、昨年1月に18区支部長に就任した。

今回は新しい選挙区で戦うのも自民党の看板を背負うのも初めてだ。やりにくさはある。それでも「反対と批判ばかりでは子どもたちを取り巻く厳しい現状を変えることはできない」と腹を決め、菅との直接対決を受け入れた。

駅頭に朝夕立ち、企業・団体回りも重ねる。ただ、40年余の議員生活で地元に根を張る菅と比べて、「新参者」の長島の知名度不足は否めない。18区の自民党元職、土屋正忠の支援をどの程度得られるかも不安材料だ。

「土菅(どかん)戦争」と呼ばれる激しい戦いを繰り広げた土屋は、17年衆院選で約1000票差で菅に敗れた。長島も所属した希望の候補に保守票を食われたことが敗因とみている。

昨年1月、土屋は事務所を訪れた長島に「邪魔はしないが、手のひらを返したように応援はできない」と言い放った。1年以上たち、今は「わだかまりはない」(関係者)とされるが、支援の効果は未知数だ。

◇たすきに「本人」

「20年近く応援してくれた東京21区の有権者を見捨てて、なぜ18区に移ったのか」

18日に行われた地元青年会議所主催のオンライン公開討論会で、菅は長島を激しく追及した。長島は「お怒りになっている方もいると思う」などと釈明したが、菅は「勝手に選挙区を変えるのは有権者への冒涜(ぼうとく)だ」と、攻撃をさらに強めた。

菅も最近の選挙は苦しい戦いの連続だ。12、14年は比例復活、17年は小差の勝利だった。長島への厳しい物言いは危機感の裏返しにも映る。街頭演説では大きく「本人」と書かれたたすきが目立つ。首相経験者としては異例の演出だ。陣営関係者は「今までのやり方だけで支持は広がらない」と語る。

新たな支持層を掘り起こそうと、若者向けの発信を強化。昨秋からオンライン勉強会を開き、インターネット交流サイト(SNS)も積極的に活用する。ツイッターでは、街頭演説の告知の際などに「#会いに行ける元総理」のハッシュタグを付け、身近な存在をアピールしている。

そうした取り組みが功を奏したのか、陣営によると菅の街頭演説を聞く若者が増えたという。「忖度(そんたく)政治が自民党政治だ。今回の選挙は政治を根本から変えるチャンスだ」。17日に長島が演説していたほぼ同時刻、隣駅のJR東小金井駅前での街頭演説では立ち止まって聞く若い女性の姿もあった。

ただ、選挙戦の行方は見通せない。陣営関係者は語る。「向かい風は吹いていないが、追い風も吹いていない。楽観はできない」

◇立候補者名簿

【東京18区】

長島 昭久 59 元防衛副大臣 自 前

推(公)

子安 正美 71 会社社長   無 新

菅  直人 75 元首相    立 前

※敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。自=自民党、無=無所属、立=立憲民主党。丸かっこは推薦政党。

衆院選の候補者の演説に耳を傾ける聴衆=17日、東京都小金井市(一部画像を加工しています)衆院選の候補者の演説に耳を傾ける聴衆=17日、東京都小金井市(一部画像を加工しています)

衆院選の候補者の演説に耳を傾ける聴衆=17日午後、東京都小金井市衆院選の候補者の演説に耳を傾ける聴衆=17日午後、東京都小金井市

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 選挙 政党 日本 東京都 自民党