核廃絶の道筋、正面から議論を=オブザーバー参加「象徴的意義」―ICAN川崎氏インタビュー【21衆院選】

政治・外交 社会

核廃絶への取り組みで2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲国際運営委員は23日までに時事通信のインタビューに応じた。今年1月に発効した核兵器禁止条約への日本のオブザーバー参加をめぐり、衆院選で論戦が交わされることに期待を示した。主なやりとりは次の通り。

―広島選出で核軍縮をライフワークとする岸田文雄氏が首相に就任した。

核廃絶を政権の課題に掲げたことは評価できるが、中身はこれまでの政府の取り組みを超えるものがない。核兵器禁止条約への言及を避けているのはとても残念だ。

―来年3月に核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開かれる。

条約を批准しなくてもオブザーバー参加で意見表明できる。核兵器禁止条約は核兵器の非人道性を強調した条約で、唯一の被爆国である日本が参加することは象徴的な意味で極めて重要だ。

―日本政府は「核保有国と非保有国の溝を広げる」として参加に慎重だ。

この条約は核兵器を持つことも頼ることも禁止している。日本にとって重要な政策転換だから、条件整備が必要なのは分かる。だが、核保有国と非保有国の「橋渡し役」をするつもりなら、米国など核保有国と話し合いをしつつ、その声を非保有国の集まりである禁止条約の締約国会議に伝えるべきだ。橋渡しのために参加しないのは理屈が通らない。

―日本が参加しないのは米国への配慮か。

米国が日本に圧力をかけているのでなく、むしろ日本が米国の抑止力を求め、圧力をかけているのではないか。

―北朝鮮や中国を抑止するには、米国の「核の傘」は必要という意見は強い。

核には核で、という考えは大変危険だ。条約でルールをつくるのは、むき出しの軍事力に頼らずに平和や安全をつくる知恵だ。世の中そんなに甘くないと言う人はいるが、核兵器は本当に使われたら取り返しがつかない。

―核兵器の役割を低減していくことが必要だと。

米国では核兵器の役割を減らそうということでたとえば先制不使用も議論されているが、日本政府はこれにも反対している。中国と領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムも核兵器禁止条約を批准した。核がなければ国の安全を保てないというのは普遍的な考えではない。

―核兵器国が参加していない中で、この条約が核廃絶にどう結びつくのか。

対人地雷やクラスター爆弾は、禁止条約が制定され、使ってはいけない兵器という規範意識が高まり、企業が作らなくなった。核兵器禁止条約も批准国が100、150と増えるほど大きな圧力になる。問われているのは日本がそのムーブメントに加わるか、加わらないかだ。

―衆院選ではどんな論戦を期待するか。

各政党には核兵器を日本の政策の中で認めるのか、それを減らすべきかをきちんと議論してほしい。野党の多くや公明党はオブザーバー参加に賛成しているが、自民党の大多数の議員はわれわれの質問に対し回答を避けている。全ての候補者が有権者に立場を示し、正々堂々と議論してほしい。

インタビューに答える国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員の川崎哲氏=18日、東京都新宿区インタビューに答える国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員の川崎哲氏=18日、東京都新宿区

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