野党一本化、焦る自民=競合区は与党に漁夫の利―岐阜4区、大阪3区【注目区を行く】

政治・外交

今回の衆院選で、立憲民主、共産両党を中心とする野党各党は幅広い選挙区で候補の一本化を進めた。一騎打ちの構図に持ち込まれた自民党は、激戦区の行方を左右しかねないとして危機感を強める。一方、野党統一候補を実現できなかった選挙区では共倒れのおそれもある。(敬称略)

◇効果を実感

「堂々とこの地区の代表だと国会で主張したい。私の切望している思いだ」。21日夜、岐阜県郡上市で開かれた演説会。岐阜4区から出馬した立民の今井雅人は、過去4回連続で比例代表での復活当選に甘んじた悔しさをあらわにし、悲願の小選挙区勝利へ支持を訴えた。

2017年の前回、今井のほかに立ったのは、自民の金子俊平と共産の籠山恵美子。結果は金子の勝利に終わった。だが、今井は約1万5000票差まで迫り、今井と籠山を足せば単純計算では金子を上回っていた。今回の今井への一本化はこうした実績を踏まえたものだ。

今井は9月、地元の共産県委員会を訪ね、「前回分の票を出していただきたい」と要請。ただ、街頭などで共産議員と並ぶのはなるべく避けたいとの意向も伝えたという。立民最大の支持団体である連合や従来の支援者への配慮からだ。共産側も「より広い保守層を取らないと勝てないと考えているのだろう」と理解を示す。

陣営は一本化の効果を全体的な運動量の増加という形で実感しているという。「自民に相当肉薄している」。打倒自民へ活気づく。

一方、今回も今井の挑戦を受ける金子の焦りは強い。党本部も首相の岸田文雄や少子化担当相の野田聖子らを投入、てこ入れに躍起だ。金子は街頭で「相手は共産とも組んでいる」と強調。岸田は「大激戦が続いている。何としても力を与えてほしい」と呼び掛けた。

県連は最重点区と位置付け、4区外の県議を対象に同区内の知り合い100人分の名簿を出すよう県内全域に通達したという。ある県議は「それだけ厳しいということだ」と語った。

野党共闘の枠組みとは一線を画す日本維新の会の佐伯哲也は、行政機構改革などを訴え、独自の戦いを展開する。

◇地元事情

「12年に落選し、まさかもう一度出陣式をできるとは思ってもみなかった。必ず国会に戻る」。公示日の19日、大阪3区の立民候補、萩原仁は大阪市住吉区の出陣式で、何度も声を詰まらせながら必勝を誓った。

同じ日の同市住之江区。共産候補の渡部結も第一声に臨み、「この大阪3区では皆さんの願いを私に託していただき、国会に押し上げてください」と声を張り上げた。同区では萩原、渡部の二人が野党票を奪い合う。

今回の選挙で、立民、共産などは、289ある小選挙区のうち、213で候補を一本化。一方、立民と共産が競合する選挙区も48に上る。大阪3区もその一つだ。

共産大阪府委員会幹部は渡部について「(将来の大阪の)エース候補で、簡単に降ろせない」と語る。一方、立民の擁立状況を見ると、大阪3区を含め、新人、元職が立った選挙区では共産と競合しているが、前職の選挙区に共産候補は一切いない。

これについて、ある立民関係者は、前職が自らの生き残りを優先し、小選挙区で敗れた際に比例代表で復活当選する可能性を高めようと、共産と調整を行ったのではないかとの見方を示す。票を食い合う相手がいなければ、惜敗率が上がり復活しやすいとの考え方だ。各地の選挙区調整にはそれぞれの地元事情も絡む。

戦いを進めやすくなったのは公明党の佐藤茂樹だ。24日には首相の岸田、党代表の山口那津男を招いての合同演説会を開催。「死力を尽くして勝ち抜く」。佐藤は力強くこう語った。

◇立候補者名簿

【岐阜4区】

金子 俊平 43 元議員秘書  自 前

推(公)

今井 雅人 59 元銀行員   立 前

佐伯 哲也 51 元可児市議  維 新

【大阪3区】

萩原  仁 54 元外務委理事 立 元

中条栄太郎 52 会社社長   無 新

佐藤 茂樹 62 元厚労副大臣 公 前

推(自)

渡部  結 40 党准中央委員 共 新

※敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。自=自民党、公=公明党、立=立憲民主党、維=日本維新の会、無=無所属、共=共産党。丸かっこは推薦政党。

衆院選岐阜4区立候補者の街頭演説に集まった聴衆=21日、岐阜県可児市衆院選岐阜4区立候補者の街頭演説に集まった聴衆=21日、岐阜県可児市

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