コメ価格、需給の反映課題=「現物市場」検討も議論錯綜―農水省

政治・外交

コメの価格について、需要と供給に基づき決まる新たな「現物市場」創設に向けた検討が、農林水産省で行われている。価格の透明性を高め、需要に応じた生産を促すのが狙い。ただ、コメの販売手法は多様化しており、買い手も売り手も市場での取引に関心が低い。同省は今年度末までの制度設計を目指すが、需給を反映した分かりやすい「コメ価格」を見いだせるか不透明だ。

「コメの需給実態を示す価格指標として十分な現物市場が必要だ」。今年7月、農業協同組合(JA)がコメ農家に仮払いした2021年産米の概算金が前年産より2~3割も下がったことをきっかけに、農家の反発を恐れた自民党の農林族から批判の声が上がった。背景にあるのは、JAごとに下げ幅が大幅に異なる価格の不透明さへの不満だ。

コメ価格については、1990年以降、自主流通米を取引する現物市場が指標となってきた。しかし販売の自由化を受け、JAをはじめとする出荷団体と卸業者などが市場を通さない直接取引を優先。取引量は激減し、同市場は2011年に廃止された。

その後は指標となる価格が存在しないため需要動向が見えにくく、生産量が過剰となって在庫が積み上がりやすくなっている。現在、価格の「目安」とされるJAの概算金も「決定経緯が不透明だ」(自民党議員)との指摘がつきまとう。

農水省は9月末、自民党の要請を受けて検討会を設置、現物市場創設の議論に着手した。ただ、議論は錯綜(さくそう)。11月2日に開かれた会合では、農水省が「生産者に需給動向のシグナルを送る」と「市場」の形にはこだわらない姿勢を示したが、方向感は定まらなかった。

会合の参加者からは、「メリットがないと参加する意味がない」(卸会社)など市場創設になお消極的な意見が目立つ。コメ取引に影響力があるJAも、新しい現物市場がなくても指標価格は見いだせると主張する。関係者の思惑が交錯する中、最適な「コメ市場」の姿はいまだ見えてこない。

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