新生児取り違えで調査請求=「生みの親知りたい」―63歳男性、都を提訴・東京地裁
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東京都立墨田産院(当時)で1958年に出生後、新生児の取り違えによって生みの親と離ればなれになった江蔵智さん(63)=足立区=が5日、都を相手取り、生みの親を特定する調査などを求めて東京地裁に提訴した。江蔵さんの代理人弁護士によると、子の取り違えで生みの親の調査を求める訴訟は初めて。
江蔵さんは提訴後に記者会見し、「自分は何者なのか知りたい」と語った。
訴状によると、同産院で58年4月10日、江蔵さんの育ての母の女性(89)が男児を出産。男児は新生児室で看護を受けたが、女性の病室に同14日に移されたのは同時期に生まれた江蔵さんで、女性と夫=故人=は自分の子と信じて育てた。
97年、体調を崩し入院した女性の血液型がB型と判明。夫はO型で、江蔵さんはA型だったため、親子関係に疑問が生じた。2004年にDNA鑑定を実施し、生物学的な親子関係がないとの結果が出たという。
江蔵さんと育ての両親は同年、都に損害賠償を求めて提訴。一審東京地裁は請求を棄却したが、東京高裁が06年10月、都に計2000万円の支払いを命じ、判決は確定した。都は賠償金を支払ったものの、生みの親を捜すことについては協力を拒否した。
江蔵さん側は、日本政府も批准した子どもの権利条約では、自らの出自を知る権利が保障されていると指摘。都に対し、生みの親かその相続人を特定し、連絡先を交換する意向の有無を調査する義務の確認に加え、調査しなかったことに対する慰謝料など1650万円の支払いも求めている。
提訴を受け、都病院経営本部は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
新生児取り違えで東京都に調査を求める訴訟を起こした後、記者会見する江蔵智さん(中央)=5日午後、東京都千代田区
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