「辞任ドミノ」直撃、揺らぐ足元=首相の求心力低下、火種なお―寺田総務相更迭

政治・外交

岸田文雄首相は20日、「政治とカネ」の疑惑を抱える寺田稔総務相を更迭した。山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相に続き、1カ月足らずで3人の閣僚が相次ぎ辞任に追い込まれる「辞任ドミノ」が現実となり、政権への打撃は拡大。内閣支持率の低迷に苦しむ首相の求心力が一段と低下するのは必至だ。

「どうだろうか」。東南アジア歴訪から帰国して一夜明けた20日、日本を1週間以上離れていた首相は近しい議員に次々に電話し、寺田氏の進退を巡る国内の空気感を探った。閣僚経験者の一人は「強気でやらないといけない」と助言した。

松野博一官房長官らとの協議も経て、首相は同日夜、寺田氏を首相公邸に呼んで辞表を受理。その後、テレビカメラを前に「相次いで閣僚が辞任し、深くおわびする」と頭を下げた。

寺田氏を巡っては、自身の後援会の政治資金収支報告書に故人を会計責任者として記載していた問題などが発覚。昨年の衆院選で公職選挙法が禁じる運動員買収を行った疑惑も浮上し、野党だけでなく、自民党内からも「辞めさせた方がいい」(幹部)との声が強まっていた。

相次ぐ閣僚の交代に、自民党関係者は「通常なら首相を続けるのが難しくなるほどの事態だ」と危機感を募らせる。野党は勢いづいており、立憲民主党の泉健太代表はコメントで「人事管理力のなさと任命責任が問われる」と非難した。

2022年度第2次補正予算案は、衆参両院本会議で鈴木俊一財務相の財政演説と各党の代表質問が21日に行われ、衆院予算委員会での実質審議が24日に始まる見通しだったが、寺田氏の辞任でこうしたスケジュールにも狂いが生じそうだ。野党は首相に経緯の説明を求める構えで、政府・与党の目指す月内成立は極めて厳しい情勢だ。

首相は山際、葉梨両氏の更迭でも「後手」批判を浴びた。今回はさらに、東南アジア歴訪の直前に葉梨氏、直後に寺田氏を更迭する形となり、自民党内からは「外遊前に2人とも辞めさせるべきだった」(幹部)と不満が渦巻く。葉梨、寺田両氏とも岸田派所属で、「首相は身内に甘過ぎる」(閣僚経験者)との批判も広まりそうだ。

寺田氏が辞任しても、幕引きとなるかは不透明だ。野党は、同様に「政治とカネ」の疑惑を抱える秋葉賢也復興相を次の「標的」に据え、追及を強める方針。自民党幹部は「まるでモグラたたきだ」と嘆いた。

反転攻勢に向け、首相周辺では来年1月の通常国会前に内閣改造・党役員人事に踏み切る選択肢もささやかれ始めた。ただ、自民党内からは「奇策はやめた方がいい」(関係者)との声も漏れる。

岸田文雄首相に総務相の辞表を提出し、記者団の質問に答える寺田稔氏=20日午後、首相公邸岸田文雄首相に総務相の辞表を提出し、記者団の質問に答える寺田稔氏=20日午後、首相公邸

記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後、首相公邸記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後、首相公邸

岸田文雄首相に総務相の辞表を提出し、記者団の質問に答える寺田稔氏(中央)=20日午後、首相公邸岸田文雄首相に総務相の辞表を提出し、記者団の質問に答える寺田稔氏(中央)=20日午後、首相公邸

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