空飛ぶバイク実用化へ=人命救助も、被災地で活躍期待

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「空飛ぶバイク」の実用化に向けた動きが進んでいる。国内ベンチャー企業が開発したホバーバイクの1号機が2022年12月、顧客の元に届いた。技術や法規制の課題はあるが、被災地での人命救助や物資輸送に役立つと期待されている。

ホバーバイク「XTURISMO(エックストゥーリスモ)」は、A.L.I.テクノロジーズ(東京)が開発。映画「スターウォーズ」から着想を得た。大小合わせて六つのプロペラで浮上し、地上から約3メートルの高さを飛行する。最高時速は80~100キロ。21年10月から、限定200台を7770万円で予約販売していた。

このバイクは日本の公道を走行できない。それでも片野大輔社長は「未来の乗り物から現実に近い乗り物というところまで来ている」と語る。

18年以降、経済産業・国土交通両省による官民協議会が、空の移動に関する技術や制度を議論。先行する「空飛ぶクルマ」では複数のベンチャー企業が開発にしのぎを削る。空飛ぶバイクも加われば、空の移動手段は一段と活気づく。

同社のホバーバイクは、プロ野球日本ハムの新庄剛志監督が22年3月の開幕セレモニーで使用。エンターテインメント分野からの問い合わせが多いほか、砂漠の多い中東や北米を中心に海外の警察・消防からの引き合いも強いという。

国内では、海やサーキット、リゾート施設などでの使用に法律で限定されている。将来は機動性を生かし、被災地での人命救助や救援物資輸送への活用を視野に入れる。同社は山梨県と協定を結び、道路が遮断されるような災害時の運用について協議を進めている。車体の小型化に加え、完全電動化などの改良が加速する見通しだ。

ただ、空飛ぶクルマは航空機として航空法が適用されるのに対し、空飛ぶバイクは分類が定まっていない。東大未来ビジョン研究センターの鈴木真二特任教授(航空工学)は、幅広い普及を疑問視する一方、「価格や維持費が高い防災ヘリコプターの代わりに利用されるのではないか」との見方を示している。

A.L.I.テクノロジーズの「空飛ぶバイク」の納車1号機=2022年12月16日、神奈川県大和市A.L.I.テクノロジーズの「空飛ぶバイク」の納車1号機=2022年12月16日、神奈川県大和市

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