行政サービス委託に成果報酬=民間の知恵活用、広がる「SIB」

社会

行政サービスを民間に委託し、成果に応じて報酬を支払う「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」と呼ばれる取り組みが自治体などに広がっている。成果報酬により財政負担を抑えながら民間の創意工夫を促し、事業効果を高めるのが狙いだ。事業を担う企業や資金を拠出する金融機関にとっては、利益を得ながら社会課題解決に貢献できるメリットもある。

SIBは2010年に英国で始まった。行政機関が民間に事業を委託し、第三者の評価に基づいて成果報酬を支払う仕組み。日本でも17年度に東京都八王子市や神戸市が導入したのを皮切りに、徐々に事例が増えている。

法務省は21年8月から、少年院を出た後の再犯防止に向け、学習塾運営の公文教育研究会(大阪市)などに学習支援を委託。心理面の専門家との対話を通じ、「さまざまな事情を抱える中でも(本人が)努力を続けられるようきめ細やかにサポートしている」(担当者)という。24年3月までに計80人の支援を計画する。

事業資金は日本政策投資銀行や三井住友銀行などが拠出。報酬の基準となる成果指標は学習の継続率や進学率などで、学習効果を高めるため関係者が「膝詰めの議論を重ねている」(政投銀)という。

また、事業支援などを手掛けるドリームインキュベータ(東京)は21年、SIBに特化したファンドを創設、高齢者の健康維持を目指す愛知県豊田市の事業に出資した。運営企業とのパイプ役も担い、スギ薬局やスポーツクラブのルネサンスなど40超の企業やNPO法人がダンス教室や異文化交流などのプログラムを提供している。

ドリームインキュベータは今後、ファンドの規模を拡大し、他自治体にもこうした取り組みを広げたい考え。吉田泰治執行役員は「SIBは国全体の費用低減につながり住民生活にもプラス。自治体の意識も高まっている」と手応えを話す。

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