むき出しの鉄骨、今も=処理水放出準備進む―風評対策でヒラメ飼育・福島第1原発
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東日本大震災に伴う事故から間もなく12年を迎える東京電力福島第1原発では、廃炉作業と共に、日々発生する処理水の海洋放出に向けた工事が進められている。1月末に現地を取材した。
原子炉建屋が見渡せる高台に立つと、水素爆発で鉄骨がむき出しとなったままの1号機が眼前にあった。1、2号機にはいまだに使用済みなどの核燃料約1000本が残る。東電は取り出しに向けた準備を進めているが、外観からは進展はほとんどうかがえなかった。
汚染水を浄化した後の処理水を保管するためのタンクは、構内の至る所に林立。東電の想定では、計137万トン分ある容量は、今年夏から秋には満杯になる見込みという。
昨年7月に原子力規制委員会の認可を受けた処理水の放出計画では、トリチウム以外の放射性物質が基準値未満になっているかを確認してから放出することになっている。その分析を担う「化学分析棟」では、担当者が国際規格に基づいて分析を行うといい、分析能力は「他機関と比べても遜色はない」と強調した。
さまざまな分析機器がある棟内では、眼鏡型端末「スマートグラス」を装着した分析員が試料に薬品を混ぜていた。手順を分かりやすくすることで、ミスを減らすための取り組みという。
処理水放出による風評被害対策の一つとして東電が取り組むのが、ヒラメやアワビの飼育だ。通常の海水と、処理水が混ざった水の両方で育て、成育状況に違いがないかを調べる。担当者は「トリチウムが生体内で濃縮されないことを示したい」と語った。
政府と東電は、春から夏ごろ海洋放出開始を目指している。政府は「科学的根拠に基づく説明を行い、理解醸成に努める」と繰り返してきたが、取材に付き添った東電の広報担当者は「まだまだご心配を掛けており、引き続き理解を得る必要がある」と述べた。
事故で鉄骨がむき出しになった東京電力福島第1原発の1号機。周囲では廃炉に向けた作業が続いていた=1月30日(代表撮影)
眼鏡型端末「スマートグラス」を身に着け、処理水を模した水の容器を手にする分析員=1月30日、東京電力福島第1原発構内(代表撮影)
東京電力福島第1原発構内で、処理水を混ぜた水でヒラメの飼育試験をする東電職員=1月30日(代表撮影)
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