諫早開門判決「失効」確定=統一判断、ねじれ解消―干拓事業訴訟で国勝訴・最高裁
Newsfrom Japan
社会- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決の無力化を国が求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は1日付で、漁業者側の上告を退ける決定をした。確定判決の効力は失われたとした二審福岡高裁判決が確定した。
開門を認めない事実上の統一判断で、裁判官5人全員一致による決定。国に「開門」と「非開門」の相反する義務を課した司法判断のねじれ状態が解消されたことになり、漁業者側が求めた開門の実現は困難となった。
漁業者側が起こした訴訟では2010年、福岡高裁が国に「3年以内に5年間の開門」を命じた。国は上告せずに確定したが、開門に応じなかったため、漁業者側への制裁金支払い義務が生じた。一方、長崎地裁が13年、営農者側の訴えを認め、国に開門の差し止めを命じる仮処分を決定した。
国は14年、状況を打開するため、開門を命じた確定判決は効力を失ったとして制裁金の支払いを強制しないよう求め提訴。一審佐賀地裁は訴えを退けたが、二審福岡高裁は18年、「開門請求の根拠となる漁業権は消滅した」と判断。一審判決を取り消し、制裁金の支払い義務を否定する国側逆転勝訴の判決を言い渡した。
最高裁は翌19年の上告審判決で、漁業権の消滅だけでは確定判決の効力を失わせる理由にならないと指摘。開門を強制することが権利の乱用に当たるかについて、さらに検討する必要があるとして審理を高裁に差し戻した。
昨年の差し戻し審判決で高裁は、堤防閉め切りから長期間が経過し、漁業への影響は軽減していると判断。国から漁業者側に制裁金約12億円が支払われたことなども考慮し、開門の強制は権利乱用に当たるとして、改めて確定判決の失効を認めた。
諫早湾干拓事業で建設された潮受け堤防北部排水門=2013年12月、長崎県諫早市側から撮影
[Copyright The Jiji Press, Ltd.]