サイクルトレイン、路線拡大中=愛車と同乗、旅客増狙う―鉄道各社
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自転車を解体したり、折り畳んだりせずにそのまま列車内に持ち込める「サイクルトレイン」が全国で広がっている。少子高齢化の加速に加え、コロナ禍をきっかけとした旅客減に直面する鉄道各社は、サイクリング人気を追い風に、沿線の観光資源も活用して利用客の掘り起こしを狙う。
JR東日本は2018年1月から、東京・両国駅と千葉県沿岸などにある駅を結ぶ観光列車を運行している。利用者に好評で、定員99人の列車が満席になることもあるという。
JR西日本は21年12月、紀勢線の一部区間でサービスを開始し、22年10月には特急「くろしお」にも専用車両を設けた。自転車の持ち込みは無料にしている。紀勢線(新宮―白浜)は、収支を公表している不採算路線の一つ。同社は「1人でも多くのお客さまに利用してもらい、沿線地域の活性化につなげたい」(広報)と意気込む。
近畿日本鉄道(大阪市)は22年9月、志摩線などでサービスを本格導入した。持ち込みは無料。駅から離れている観光名所も訪れやすくなり、多い日は60人以上が利用するという。京王電鉄も、高尾山(東京都八王子市)周辺への観光客誘致を狙い、今年1月に実証実験を始め、3月に第2弾を実施中だ。
JR四国(高松市)は09年、予讃線の一部区間で臨時列車の運行を開始。沿線近くに瀬戸内海を横断できる自転車専用道があり、サイクリング客を狙ったサービスの草分け的路線だ。現在は予讃線と予土線で土曜・休日に対象の普通列車に持ち込める。
各社のサービスへの評価は上々で、対象区間拡大などの要望があるという。今後は専用車両導入などの設備投資や、一般客との乗り合いを円滑にできるかが課題になりそうだ。
予讃線の臨時列車運行に携わったNPO法人「シクロツーリズムしまなみ」代表理事の山本優子さんは、全国的な対象路線の拡大には健康や環境に配慮する価値観の広がりが背景にあると指摘。その上で「地域のブランディング(認知度向上)の核で、周遊型の旅づくりにもつながる」と期待している。
紀勢線のサイクルトレインに自転車を持ち込む乗客(JR西日本提供)
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