新居住区域「大切な一歩」=内堀福島知事インタビュー―東日本大震災12年

社会

福島県の内堀雅雄知事は7日、東日本大震災から12年を迎えるのを前に時事通信のインタビューに応じた。政府が東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域内に新設する方針である「特定帰還居住区域」について「避難指示解除に向けた大切な一歩」と評価。住民の帰還促進に向けてきめ細かな施策を講じる考えを示した。

―特定帰還居住区域の創設方針が決まった。

2020年代に希望者が全員帰還できるよう取り組む中、帰還困難区域全体の避難指示解除に向けた大切な一歩になる。帰還意向のある住民が一日でも早く安心して生活を再建するためには、早期の除染が必要だ。引き続き国に対し、各自治体の意向を十分踏まえ、全ての避難指示解除に向け、最後の最後まで責任を持つよう訴えていく。

―全町避難が続いていた双葉町の一部で避難指示が解除され、住民帰還も始まった。

県全体として、着実に復興が前進している。一方、地域ごとに復興の進捗(しんちょく)が大きく異なる。例えば、避難指示が解除された地域では、ハード面での復旧は終わりつつあるが、産業再生や医療・介護、子育て、買い物など生活環境の整備が十分進んでいない地域もある。住民の声を丁寧に聞き、実情に応じたきめ細かな施策を進めていく。

―原発から出る処理水の海洋放出で国に求めることは。

国が前面に立って関係者の思いを真摯(しんし)に受け止めながら、信頼関係を構築し、政府一丸となって万全な風評被害対策を講じ、責任を全うするようあらゆる機会を通じて強く求めていく。

―県内農林水産業の復興に向けて。

度重なる自然災害に見舞われ、農林水産業も深刻な被害を受けている。復興再生の道のりは途上だ。福島ならではのブランド力強化に取り組み、風評被害の払拭(ふっしょく)を図る。

インタビューに答える福島県の内堀雅雄知事=7日午後、福島市インタビューに答える福島県の内堀雅雄知事=7日午後、福島市

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