ウガンダ人同性愛者、難民不認定取り消し=「帰国すれば迫害の恐れ」―大阪地裁

社会

性的少数者(LGBTなど)に対する差別を理由にウガンダから出国した30代の同性愛者の女性が、国に難民不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が15日、大阪地裁であった。森鍵一裁判長は「帰国すれば迫害を受ける恐れがある」として、国に処分を取り消すよう命じた。

原告弁護団によると、LGBTを理由に裁判で難民と認定された例はなく、画期的という。

原告側によると、女性はウガンダで母親に同性愛者だと打ち明けて以降、警察官らから暴行を受けるようになったため、2020年に出国。日本に到着すると大阪出入国在留管理局に収容され、難民認定を申請したが、不認定となった。

森鍵裁判長は判決で、「ウガンダでは同性愛者への差別意識が国家機関にも残存しており、恣意(しい)的な身柄拘束をする可能性があった」と指摘。警察官から暴行を受けた事実を認めた上で「同性愛を理由に迫害を受けるおそれがある」と認定した。

訴訟で国側は、ウガンダでは同性愛行為を「自然の摂理に反する性交渉」として違法としているが、有罪判決を受けた人はおらず、人権侵害の状況も大きく改善していると主張していた。

女性は判決後、大阪市内で記者会見。「ずいぶん苦しんだが、非常にうれしい。収容されている難民申請者は、希望を失ってはいけない」と話した。

出入国在留管理庁は「判決の内容を十分に精査し、適切に対応したい」としている。

難民不認定処分の取り消しを命じる大阪地裁判決後、記者会見するウガンダ人女性(中央)=15日午後、大阪市北区難民不認定処分の取り消しを命じる大阪地裁判決後、記者会見するウガンダ人女性(中央)=15日午後、大阪市北区

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