日韓首脳、関係正常化で合意=徴用工「解決」、岸田首相が評価―シャトル外交12年ぶり再開へ

政治・外交

岸田文雄首相は16日、初来日した韓国の尹錫悦大統領と首相官邸で会談した。両首脳は、元徴用工問題などにより一時極度に悪化した日韓関係の正常化に取り組む方針を確認。首脳が相互に往来する「シャトル外交」再開で合意した。首相は今夏までを視野に、初めてとなる訪韓に向けて調整を本格化させる。

会談は少人数会合に続いて全体会合を実施。その後、共同記者会見と夕食会を行った。国際会議に合わせたものを除き、韓国大統領の来日と共同会見は2011年以来。

全体会合の冒頭、首相は「政治、経済、文化など多岐にわたる分野で、政府間の意思疎通強化について意見を交わしたい」と強調。尹氏は「首相と緊密に意思疎通を図りながら、両国の新しい時代に向け共に協力したい」と応じた。

戦時中の徴用工の問題は近年、日韓で最大の懸案。日本側は1965年の国交正常化時に締結した請求権協定で「決着済み」との立場だが、日本企業に賠償を命じる韓国最高裁判決が18年に確定し、2国間関係の土台が揺らぐ事態となった。

首相は共同会見で、賠償を韓国財団が肩代わりする韓国政府の解決策を「評価している」と表明。植民地支配への「痛切な反省と心からのおわび」を明記した98年の日韓共同宣言を含め、歴代内閣の歴史認識を引き継ぐ考えを示した。尹氏は「両国の不幸な歴史を克服し、韓日協力の新たな時代に踏み出す第一歩となった」と述べた。

韓国財団が被告企業に賠償金を求める「求償権」の行使については、両首脳とも「想定していない」と否定した。

会談では、北朝鮮が16日朝に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級1発を発射したことを受け、今後の対応を協議。日米・韓米同盟の抑止力、対処力の強化で一致した。中国の軍事的威圧などを踏まえ、外務・防衛当局による安全保障対話の約5年ぶり再開と、半導体など先端技術の供給網強化を含む経済安保対話の枠組み創設を申し合わせた。

運用が凍結されている軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化でも合意。首相は、慰安婦問題に関する15年の日韓合意について、尹氏に着実な履行を求めた。

シャトル外交は11年12月に当時の李明博大統領が京都市で野田佳彦首相と会談したのが最後。岸田首相は会見で「適切な時期の訪韓を検討する」としつつ、「時期は決まっていない」と述べた。首相周辺によると、会談では5月に広島市で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)への尹氏招待も話題に上った。

会談の冒頭、握手する韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相=16日午後、首相官邸会談の冒頭、握手する韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相=16日午後、首相官邸

会談に臨む韓国の尹錫悦大統領(左手前から3人目)と岸田文雄首相(右端)=16日午後、首相官邸会談に臨む韓国の尹錫悦大統領(左手前から3人目)と岸田文雄首相(右端)=16日午後、首相官邸

共同記者会見に臨む韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相=16日午後、首相官邸共同記者会見に臨む韓国の尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相=16日午後、首相官邸

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