「国会質問依頼した」=前社長、幹部にメール―洋上風力汚職・東京地検

社会

洋上風力発電事業を巡る汚職事件で、「日本風力開発」(東京)の塚脇正幸前社長(64)が衆院議員の秋本真利容疑者(48)=受託収賄容疑で逮捕=に国会質問を依頼したという内容のメールを複数の同社幹部に送っていたことが9日、関係者への取材で分かった。

東京地検特捜部はメールを押収しており、秋本容疑者が塚脇前社長から依頼を受けて国会質問した証拠の一つとみて調べている。

秋本容疑者は2019年2月以降、塚脇前社長から同社に有利な国会質問をするよう複数回依頼され、19年3月~今年6月ごろ、総額約6000万円の賄賂を受領したとして逮捕された。

関係者によると、塚脇前社長は19年2月下旬、複数の同社幹部に、青森県の陸奥湾の海域に関して秋本容疑者に国会質問するよう依頼したとするメールを送っていたという。

日本風力開発は陸奥湾での事業参入を目指し、16年以降、地質などの調査や住民向け説明会などを行っていた。しかし青森県は、陸奥湾の一部エリアについて、海上自衛隊の訓練や航空機の計器に支障があるとして「立地困難」「調整困難」と判断した。

これを県が同社に伝えた2日後の19年2月27日、秋本容疑者は国会質問で「国防に支障がないなら、洋上風力が青森県でもしっかりと展開されるべきだと思う」と発言。防衛施設への影響を理由に過度な規制をかけないよう求めた。

風力発電会社「日本風力開発」の社長宅を家宅捜索し、段ボール箱を運び出す東京地検の係官=8月5日、東京都千代田区風力発電会社「日本風力開発」の社長宅を家宅捜索し、段ボール箱を運び出す東京地検の係官=8月5日、東京都千代田区

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