無防備の「虎の子」護衛艦=「衝突なら運用に支障」―ドローン空撮に強い危機感・防衛省

社会

海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(神奈川県・横須賀基地)をドローンで空撮したとする動画が中国のSNSに投稿されたことについて、防衛省は実際に撮影された可能性が高いと判断した。いずも型護衛艦は、防衛力を強化する自衛隊の「虎の子」的存在。無防備に映る姿がさらされたことに防衛省は強い危機感を抱いている。

「防衛関係施設に対しドローンにより危害が加えられた場合、わが国の防衛に重大な支障を生じさせかねない」。木原稔防衛相は記者会見でこう述べ、基地警備対策を強化する方針を示した。

海自はいずも型護衛艦を横須賀基地と呉基地(広島県)に1隻ずつ配備する。建造費は1隻1100億円超。複数の哨戒ヘリコプターを同時に運用できるよう広い飛行甲板を備え、高い対潜水艦戦能力を持つ。太平洋側の防空や南西諸島防衛などのため、航空自衛隊が導入するステルス戦闘機F35Bを搭載できるよう「空母仕様」への改修も進む。2隻で計約770億円の改修費が計上された。

防衛省関係者は「ドローンが通信・武器システムなどに衝突すれば、抑止力を高めるために巨費を投じた護衛艦の運用に支障を来す恐れがある」と懸念する。

ドローン規制法では対象防衛関係施設に指定された自衛隊基地とその周囲約300メートルの上空では飛行が禁止される。違反すれば電波妨害による強制着陸などの措置が取れるが、今回は接近した。防衛省幹部は「実際に対処していれば、ドローンが(いずも頭上を)これほどきれいに飛んでいくことはない」と述べ、強制措置が取られなかったことを認める。

横須賀基地には、北朝鮮の弾道ミサイル迎撃任務に就くイージス艦も配備されており、損傷すれば日本の防空網に穴があく可能性もある。イージス艦は舞鶴基地(京都府)や佐世保基地(長崎県)にも配備されており、ドローン対策は全国的な課題だ。

防衛装備庁はドローン対策機材の研究開発を進めており、2024年度は車両搭載型のレーザーシステムでドローンを探知・破壊する試験を行う。試作品は三菱重工業が担当。川崎重工業が試作した、より高出力なレーザーシステムの研究・試験も進める。実用化されれば、低コストで迅速にドローンなどを迎撃できる可能性がある。同庁は電磁波で多数のドローンを無力化する研究も進めている。

海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(海自ホームページより)海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(海自ホームページより)

舞鶴基地(京都府)から寄港したイージス艦「あたご」(艦番号177)などが停泊する海上自衛隊の横須賀基地=2月16日、神奈川県舞鶴基地(京都府)から寄港したイージス艦「あたご」(艦番号177)などが停泊する海上自衛隊の横須賀基地=2月16日、神奈川県

ドローン対策などで、防衛装備庁が実用化に向けて技術実証中の高出力レーザーシステム。川崎重工業が試作した(防衛装備庁提供)ドローン対策などで、防衛装備庁が実用化に向けて技術実証中の高出力レーザーシステム。川崎重工業が試作した(防衛装備庁提供)

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