高裁判決、全て「合憲」=昨年衆院選「1票の格差」―最高裁が判断へ

社会

「1票の格差」が最大2.06倍だった昨年10月の衆院選は投票価値の平等を定めた憲法に違反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めて全国14の高裁・支部に起こした計16件の訴訟の判決が7日、出そろった。全ての判決が「合憲」と判断し、請求を退けた。

16件目となった福岡高裁の新谷晋司裁判長は同日、「投票価値の平等の要求に反するとは言えない」と指摘した。今後、原告側の上告を受けて最高裁が審理する見通しで、判断が注目される。

昨年衆院選は人口比をより正確に反映できるとされる「アダムズ方式」が初めて適用された。最大格差は2021年衆院選の2.08倍から縮小したが、依然として2倍超。同方式導入の当否などが焦点だった。

一連の訴訟では、同方式を柱とした昨年衆院選の選挙区割りについて、「投票価値の平等と選挙制度の安定性を調和的に実現する」(札幌高裁)などとして、各高裁とも「合理性がある」と判断。「25年の国勢調査の結果を踏まえて2倍未満になるよう是正が予定されている」(名古屋高裁)と、是正時期が定められている点を評価する意見もあった。

最大格差が2倍を超えている点も、各高裁は「自然的な人口移動以外の要因は認められず、格差の程度も著しくない」として、憲法には反しないと結論付けた。

福岡高裁=福岡市中央区福岡高裁=福岡市中央区

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