戦後最大の危機に直面して

政治・外交

厚生労働大臣として年金問題や新型インフルエンザ対策などを実施してきただけでなく、国際政治学者として安全保障問題にも明るい舛添要一氏が、震災後の日本再建計画を提言する。

明治維新、敗戦に続く、国家としての第3の危機にいかに立ち向かうか

未曾有の大震災に見舞われた日本は、被災者の救援、被災地の復興に全力を挙げている。福島第一原子力発電所の事故も深刻な事態となっている。

今回の不幸な大惨事は、戦後の日本人が直面する最大の危機である。日本の近代史を振り返ったとき、第1の危機は幕末明治維新で、西欧の植民地にされる危険性があった。しかし、日本は近代国家に脱皮し、独立国家を保つことができた。第2の危機は、1945年の敗戦で、外国軍隊によって占領されるという歴史上初の体験をしたが、民主主義国家として再生し、経済発展を遂げることができた。

今回は、いわば第3の危機である。この危機をどうやって乗り越えていくのか。大震災という悲劇は、戦後の成功体験に基づく自己満足を反省する機会となっている。

政治的には、与野党の対立を一時棚上げして、会派を超えた救国内閣を形成する動きが活発化している。過去数年にわたって、衆議院と参議院の多数派が異なるという「ねじれ現象」が、日本の政治の機能不全をもたらしてきた。そのため、大連立を模索する動きもあったが、成功しなかった。大震災は、大連立への動きを加速化させている。そして、それは政界再編成への序曲となる可能性がある。

国土開発という観点からは、防災という視点を強調した新都市計画が実行に移されるであろう。津波に襲われた沿岸部から内陸部への住民の移住が不可欠だからである。そして、東京一極集中の見直しも進んでいくであろう。

原発事故は深刻な環境汚染と電力不足を生んでいる。電力の4分の1を原子力に頼っている現在の電源構成をどう見直すのかが、大きな課題となる。それとともに、日本人は、電力多消費型の生活様式を改めることを考え始めている。環境にやさしい生活を求めて、日本人の得意なリサイクル型の生活様式を推進していくであろう。

被災者支援という目先の課題とともに、希望をもって長期的な日本再建策を私たちは構想している。

(2011年3月29日 記す)

東日本大震災