3.11 複合災害-地震・津波・放射線-

社会

中国研究者の川島真東京大学准教授は、震災後、100通を超えるお見舞いの電子メールを受け取り、訪問した台北、北京、上海などで様々な励ましと支援の声を耳にした。そうした声に対しては、感謝の気持ちを持つとともに、戸惑いもあったという。

時宜にかなった、きめ細やかな支援が必要

2011年3月11日に地震が起きた時、大学図書館の最上階にいた。本棚から本が崩れ落ち、そのうち女子学生の悲鳴が館内に鳴り響き、図書館外に避難した。その後、帰宅の途についた。もちろん、電車は止まっている。「帰宅難民」となって、利用できる交通機関も利用しながら、5時間弱かけて自宅にたどり着いた。

あの日から3週間が経とうとしている。今回の災害は、地震・津波・原発の三者の複合災害だった。特徴の一つは、その三者が空間や当事者を異にしているということである。震度5以上の強い地震が広域に分布したのに対して、多くの死者をもたらした津波は沿岸部に偏り、さらに深刻な原発被害は基本的に福島第一原発から半径30キロ圏内に限定されている。最大の被害者は、この三者の全てに該当する人々だ。

この3週間、職業柄、台北、北京、上海などに脚を運んだ。地震直後から100通を超えるお見舞いの電子メールを海外から戴いていたが、どこを訪問しても様々な励ましと支援の声を耳にした。とてもありがたいことであり、また外国人の犠牲者も少なくなかったことに胸が痛んだ。

だが、それとともに戸惑いもあった。第一に、今回の災害が一つの空間で生じたことであると理解され、地震・津波・放射線の空間的複合性があまり把握されていなかった点だ。第二に支援行為をめぐる方法と感情だ。地震・災害・放射線の三者の重なり具合によって、被害状況も必要な支援も多様な様相を呈している。中国語圏では、災害支援にも「援助」という語を使うが、感謝すべき「援助」がまさに有効、かつ効率的であるためには、適切な状況把握に基づく、適切かつ迅速な判断が必要である。

筆者は、海外の友人たちに次のように伝えるようにしている。「被災者たちは、感謝という語の下に感情表現を抑制しがちである。テレビの画像のみならず、きめ細やかな現地の視点に基づく情報収集、そして被災地との綿密な連絡に基づく時宜にかなった、きめ細やかな支援が今後とも必要になる」と。

(2011年4月2日 記す)

東日本大震災