FUKUSHIMAをポジティブな言葉に
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8月15日に、福島市の公園「四季の里」をメイン会場に、「フェスティバルFUKUSHIMA!」というフェスを開催します。音楽家だけでなく、美術家や、詩人、一般市民も多数加わりさまざまな表現を通じて、現在の福島に対してどういうアクションを起こしていくかを発信していきます。
福島の現状を福島から発信する
「福島で今起こっている現実をどう解釈し、そこにどう正面から向かうかを福島の人々とともに考えていこう」という呼びかけで集まったフェスの実行委員会の代表は、福島市に暮らす詩人・和合亮一さんと二本松市で生まれ育った音楽家の遠藤ミチロウさん、そして私です。
和合さんは、震災以降、Twitter(@wago2828)で「詩の礫」と題した連作を発表し、大きな反響を呼んでいる人です。ミチロウさんは、伝説のパンクバンド、スターリンの中心人物として活躍した有名なミュージシャンです。私は横浜生まれですが、父親の仕事の関係で小学校3年生の時に引っ越してきてから、大学に入るまで10年間福島市で暮らしていました。両親は今も福島市にいます。
当初は文化の力でこの状況を打破できないかと、活動の主体となる「プロジェクトFUKUSHIMA!」を立ち上げ、フェスを企画したのですが、何度も福島入りして、現地の非人道的ともいえる惨状を目の当たりにし、そんな甘っちょろい考えだけではダメだと思い至るようになりました。
放射線衛生学者の助言
まずは放射能汚染に関する情報を得ようと必死になったのですが、原発事故の影響に関する情報は、政府の発表とネットに溢れる情報の乖離などにみられるように混乱していて、何を信じていいのか戸惑うばかりでした。福島でプロジェクトをやるからには、放射線に関する専門家のサポートは不可欠だと考えていましたが、一体誰を信じていいのか分かりませんでした。
そんな時に見たのがNHKの『ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~」』でした。番組で紹介されていた放射線衛生学者の木村真三さんは、放射線医学総合研究所で東海村臨界事故の調査を手がけた後、厚生労働省の研究所に移り、自主的にチェルノブイリの調査に出かけたという放射線の人体に対する影響の専門家です。今回の原発事故では、職場の幹部から自主的な調査活動を行わないように指示を受けて、辞表を提出したそうです。私はこの番組を観て、この人の言うことなら信用できると思いました。
「プロジェクトFUKUSHIMA!」のメンバーでもあるNHKディレクターの仲介で木村さんと会うことができました。木村さんは私たちの不安を聞いたうえで、実際に現地調査にも足を運び「四季の里でフェスをやることは可能です。やるべきです。被害を受けた人たちは我慢するんじゃなくて、積極的に打って出る必要があります。そのために私たち専門家がいるんですから」と言い、本当に涙がでました。
それは無暗にフェスを強行するということではなく、科学的なデータをもとにして、今後一緒に福島の救済活動をやっていこうという提案でもありました。木村さんは、「放射能の被害というのは、1年や2年の話ではなく、何十年、もしかしたら百年単位で考えていかなくてはならない問題なんです。そうした問題提起の場として、今回のフェスを捉えたらいいじゃないですか」とアドバイスしてくれました。こうした真摯な学者の助言で私たちははじめてスタート地点に立てたんです。
福島だけの問題ではない
私が一番心配しているのは、「今、そこにある危機」を回避できるかどうかです。具体的に言うと、深刻な土壌汚染がありながら避難勧告が出ていないエリアでの住民への影響を食い止める方法がないかということ。一日も早く、放射線量の測定を行い、対策を講じてほしい。一番良いのは退避してもらうことかもしれませんが、でも土地を捨てて出ていくという選択肢はそう簡単なことではないですし、もしそこに住まねばならぬのなら被害を最小限に食い止め、汚染を広げない方法を一刻も早く国をあげてやるべきです。
この先一番の問題は食物などからセシウムが体内に入る内部被曝です。この被害が出る前に食い止めねばというのが、私の切なる願いです。基準値以上の汚染が出てしまった食物は流通させない、食べさせないというのが最優先でしょう。そのために必要なのは、放射能汚染とその対策に関する正確な情報と知識を、私たちの一人ひとりが持った上で国や行政が厳しく対策することだと思います。今頑張れば間に合うはずです。
私は科学者や政治家ではないのでそうした対策をすることには限界がありますが、一方で現在福島が置かれている悲惨な状況を伝える必要と責任があると思っています。8月15日のフェスには、1万人近い人が集まってくれると期待していますが、フェスに参加しようと思った瞬間から、一人ひとりの心の中にいろいろな変化が生じるに違いありません。福島に行っても大丈夫なのか、今一番問題になっていることは何なのか、自分たちにできることは何かないか、などなど。自分も関わっている問題として考えてほしいんです。
私は「プロジェクトFUKUSHIMA!」を、数十年の単位を視野において続けていくつもりです。今回のフェスは、そのスタート地点に立つイベントだと考えています。同時に「フェスティバルFUKUSHIMA!」を世界同時多発的に展開していきたいとも思っています。今回の問題というのは、日本の福島だけの問題ではないからです。原発事故の問題というのは、単に将来のエネルギーをどうするかの問題だけではなく、これまで私たちが築きあげてきた生活を根底から考え直さなくてはならない問題だからです。
「プロジェクトFUKUSHIMA!」の取り組みは、フェスだけではありません。まずは、「DOMMUNE FUKUSHIMA!」。独自のメディアで福島の声を世界に伝えるため、世界でも圧倒的な人気と視聴者数を誇る東京発のインターネット放送局「DOMMUNE(ドミューン)」と協力して5月8日にスタートさせました。ライブ音楽プログラムとシリアスなトーク番組の2本立てで、フェスの後も継続し、福島の声を発信していくつもりです。さらに「スクールFUKUSHIMA!」では福島が抱える過酷な現状にどう向き合うかを考えるために、国内外から参加者を募って、これも長く続けたいと思ってます。
国籍を問わず、「プロジェクトFUKUSHIMA!」に賛同する方は事務局までご連絡ください。どんなスタイルでもいいですから、FUKUSHIMA をポジティブな言葉に変えていきませんか?
(2011年6月26日 談)