SNS

最新記事

ニュース

More

特集 伝統美のモダニズム “Cool Traditions”
忍者の里「伊賀」と「甲賀」を訪ねる
[2017.08.22]

南北朝時代(14世紀)から江戸時代にかけて、日本各地で活躍した忍者。その中でも伊賀と甲賀の忍者は、最強のエリート集団として有名だ。2つの里にある施設を訪ねると、忍者の修行や生活、使った道具が体感できる。

1. 忍者を知る、見る、感じる「伊賀流忍者博物館」

伊賀鉄道上野市駅から歩いて5分ほどの上野公園(伊賀上野城公園)内にある「伊賀流忍者博物館」。施設内には忍者屋敷、忍者体験館、忍者伝承館があり、屋外広場では定期的に忍者ショーが開催されている。

観光案内板は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語に対応している

忍者屋敷は一見、何の変哲もないかやぶきの農家だが、屋敷内にはからくりが施されている。忍者姿の案内係は、「からくりは現在のセキュリティーシステムのようなものです。伊賀では、どの家にも2、3カ所のからくりが設置されていました」と説明する。

(左上)忍者屋敷 (右上、下)壁がくるりと回って隠れることができる「どんでん返し」

忍者体験館には、忍者の道具や史料が展示されている。忍術書に基づいて作られた手裏剣などの忍具や、実際に使っていたとされる水蜘蛛(みずくも)など400点以上が展示されている。手裏剣は実戦では使われなかったらしく、案内係も「戦うのは侍で、忍者は逃げたり、隠れたりするのが専門です」と言う。

(左上)再現された手裏剣 (右上)水上を歩くために使われた水蜘蛛 (左下)鞘(さや)や下げ緒にも工夫がある忍び刀 (右下)忍者の装束

忍者の歴史や暮らしを紹介する忍者伝承館では、装束や日用品が展示されている。それらから忍者ならではの知恵を見付けるのも興味深い。子ども向けのクイズコーナーや、お土産品の売店もある。

忍者屋敷の床板の下には、日本刀が隠されていた

  • 住所:三重県伊賀市上野丸之内117
  • 入館料金:高校生以上756円、4歳~中学生432円
  • 開館時間:午前9時〜午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
  • 休館日:12月29日~1月1日

関連記事:忍者のリアルに迫る

2. 忍者気分を満喫できる「甲賀の里 忍術村」

鈴鹿山麓の「甲賀の里 忍術村」は、広大な敷地内に忍術博物館、からくり忍者屋敷、手裏剣道場といった施設がある。忍者道場では、石垣登り、塀越え、塀横歩きなど九つの修行を体験できる。

塀越えには、忍者刀を踏み台として利用する。長い下げ緒が付いており、塀の上から手元に引き寄せることができる

忍者屋敷は、実在した甲賀忍者の子孫「藤林家」の旧屋敷を移設したもの。伊賀の忍者屋敷同様、家の中に隠し出口などのからくりが備わっている。

手裏剣道場では、実際に手裏剣投げを体験できる。後ろが旧藤林家を移築した忍者屋敷

「この辺りは交通の要所で、土地争いが多かったようです。甲賀は突出した領主がいなかったことから、団結心が強い自治組織が発達しました」と、忍者村職員の北沢晃さんが解説してくれた。

甲賀の里にも「どんでん返し」のからくりが

忍術博物館には、忍術書「萬川集海(まんせんしゅうかい)」をはじめ、史料や道具などが展示されている。萬川集海は各家にあったというが、北沢さんは「忍術は秘術ですから、肝心なことは書いてありません。重要なことは口述で伝え、それを記憶していたようです」と言う。

(上左)忍術博物館の展示 (上右)珍しい形状の手裏剣や、まきびしを所蔵する (下)忍術書「萬川集海」

  • 住所:滋賀県甲賀市甲賀町隠岐394
  • 入村料金:大人1030円、中高生820円、小学生730円、幼児520円
  • 開村時間・定休日:時期によって変動 ※公式WEBサイトで要確認

3. 由緒ある忍者屋敷が現存する「甲賀流忍術屋敷」

元禄年間(げんろくねんかん、1688~1704年)に建てられた忍者屋敷を公開しているのが、甲賀市内にある「甲賀流忍術屋敷」だ。この屋敷を建てた望月出雲守は、1487年の鈎の陣(まがりのじん)に参加した甲賀53家の筆頭。手入れの行き届いた庭を抜けると、薬の看板が入り口に掲げられている。忍者は日中、山伏の姿で薬やお札を持って各地を巡り、情報を集めたとされるが、望月家も薬の製造販売を行っていたようだ。甲賀市は現在も製薬業が盛んな地である。

(上左)甲賀53家の筆頭・望月出雲守の建てた屋敷 (右上)薬製造業を営んでいた名残の看板 (下)手裏剣などの道具も展示

屋敷の中に入ると大広間が広がっていて、からくりなどを紹介する動画が見られる。隠し階段や屋外につながる抜け穴といった仕組みは当時のまま。忍術書や忍具などの資料も展示している。

3階から1階に素早く逃げることができる縄ばしご

  • 住所:滋賀県甲賀市甲南町竜法師2331
  • 入館料金:中学生以上700円、4歳~小学生400円
  • 開館時間:午前9時〜午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
  • 休館日:12月27日~1月2日

取材・文=佐藤 成美
撮影=大島 拓也

  • [2017.08.22]
関連記事
この特集の他の記事
  • 現代人を癒やすマッサージチェア:誕生から進化、普及の歴史忙しい現代人の疲れを癒やす「マッサージチェア」。今や家庭はもちろん、ホテルやスポーツジム、医療施設などでもよく目にするようになった。世界で初めてマッサージチェアの量産化に成功し、今も業界のトップを走る「フジ医療器」(本社・大阪市中央区)に進化の歴史や最新機能について話を聞いた。
  • 力士を強くする稽古とちゃんこ相撲部屋は力士が稽古に励みながら、共同生活をする場。東京・清澄白河にある高田川部屋を訪れ、早朝から始まる厳しい稽古の様子と、それを終えてリラックスした力士たちの姿を追った。
  • 欧州で茶の湯の普及に尽力する、野尻命子に聞くローマを拠点に50年余。80歳を超えた今も、ヨーロッパ各地を飛び回り、日本の「茶の湯」の精神を伝え続ける野尻命子。言葉や文化、宗教も異なる人々に、野尻が説く「茶の湯」が広く受け入れられている理由を探った。
  • 世界で最も有名な忍者:初見良昭氏が現代に伝える「武道の極意」技の伝承を求め、入門する外国人が後を絶たない「武神館」。世界各地から千葉県野田市の道場に足を運び、「戸隠流忍法」宗家・初見良昭(まさあき)氏(86)に教えを仰ぐ。そこで目にしたものは、忍者映画や忍者アニメで知るのとは一味も二味も違う、奥深い世界だった。
  • 震災を乗り越え、未来へ駆ける大堀相馬焼:「陶徳」の挑戦福島県浪江町で300年以上続いてきた焼き物「大堀相馬焼」。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、一時は廃絶の危機にひんしたが、伝統を次世代に残すための新しい歩みが始まっている。郡山市で再興を目指す窯元「陶徳(すえとく)」の若き当代を中心に、新しい一歩を踏み出した家族の今を紹介する。

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • ニッポンドットコム・メディア塾 —ジャーナリストを志す皆さんに
  • シンポジウム報告