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特集 伝統美のモダニズム “Cool Traditions”
力士を強くする稽古とちゃんこ
大相撲・高田川部屋訪問記
[2018.08.03]

相撲部屋は力士が稽古に励みながら、共同生活をする場。東京・清澄白河にある高田川部屋を訪れ、早朝から始まる厳しい稽古の様子と、それを終えてリラックスした力士たちの姿を追った。

相撲は単に個人競技とは言い切れない。稽古で互いに鍛え合うチームスポーツのような側面も併せ持っている。その集団の単位が「部屋」。700人近くいる大相撲の力士は、新弟子から横綱まで一人残らず相撲部屋に所属しているのだが、同部屋の力士は本場所で対戦することがない。あるとしたら千秋楽で勝ち星が並び優勝決定戦になる極めてまれな場合だけだ。

部屋は「チーム」であるだけでなく、共同生活を営む「家」でもある。他の競技が一定期間に合宿するのとは違い、常に寝食を共にする。部屋の建物には、多くの場合、1階に稽古場があり、2階から上に力士たちの生活スペースがある。そのさらに上階に師匠(親方)とその家族が住むことも多い。部屋を出て独立した暮らしができるのは、原則として十両以上の力士(関取)が結婚した場合に限られる。幕下以下の力士は、大部屋で共同生活をし、関取になると個室が与えられる。つまりほとんどの力士にとって、住所は所属する相撲部屋なのである。

高田川部屋には親方以下、力士20人、行司2人、床山1人が在籍する

相撲部屋の朝は早い

部屋によって一日の時間割は少しずつ違うが、共通しているのは朝が早いということだ。おおむね早朝6時には起床し、身支度を済ませて稽古場に入る。朝は何も食べない。稽古が終わった昼に一日の最初の食事をとる。

ここ高田川部屋では、稽古場入りの時間は自主性に委ねられているが、部屋の関取が早くから稽古に出てくるため、下位の力士もゆっくり寝ているわけにはいかない。7時には大半の力士が勢ぞろいし、思い思いのやり方でストレッチをして身体をほぐし始める。

この段階では、まだ誰も土俵の中には入らない。その周りで相撲の基本運動である四股(しこ)、すり足、鉄砲を何度も入念に繰り返し、徐々に身体を目覚めさせていく。これを丁寧に辛抱強く繰り返すことで、足腰が強く、柔軟で、けがをしにくい身体を作る。誰も口を利かない。それぞれが自分の呼吸と身体の隅々に意識を集中し、これから始まる激しい稽古に向けて、黙々と心身を仕上げていくのだ。

相撲の基本運動、四股(上段)、鉄砲(下段左)、すり足(下段右)

高田川部屋の稽古・ちゃんこの風景を動画で見る

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  • [2018.08.03]
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