新時代を迎える歌舞伎

63人の歌舞伎俳優が銀座を“お練り”

文化

中村時蔵、市川海老蔵といった当代の人気歌舞伎役者63人が、第五期歌舞伎座開場を祝って銀座を大パレード。「前代未聞」のお練りの様子を動画でお届けする。

上方歌舞伎の大御所で人間国宝の坂田藤十郎さんは、パレード前のセレモニーで「雨は降っているが、(歌舞伎座に)お客様が“降り込んで”くる、縁起のいい門出となった」と述べた。(写真撮影=鴨志田孝一)

歌舞伎座(東京・銀座)の新開場を記念して、2013年3月27日、有名歌舞伎俳優らが銀座の街を練り歩くパレード「GINZA 花道」が開催された。歌舞伎俳優が襲名の際に、ファンへの挨拶として“お練り”をするのにちなみ、歌舞伎座の「五代目」襲名披露として行われたもの。

参加したのは、中村時蔵さん、中村福助さん、市川海老蔵さん、尾上菊之助さん、中村勘九郎さんら総勢63人。江戸火消しの伝統を受け継ぐ木遣(きやり)衆の先導で、銀座1丁目から4丁目までの中央通り(銀座通り)を400mにわたってパレード。これだけの大勢の歌舞伎俳優が練り歩くのは「前代未聞」(大谷信義松竹会長)で、約125年前から歌舞伎座のおひざ元である銀座の街にとっても初めてのことだった。沿道を埋め尽くした約3万2千人の観客は、雨の中にもかかわらず、“世紀のお練り”に大きな声援を送った。

開場式と古式顔寄せ手打式も開催

「開場式」は同日午後に行われた。式典では、松本幸四郎さん、中村梅玉さん、尾上菊五郎さんが開場を祝う『寿式三番叟』(ことぶきしきさんばんそう)を上演後、松竹幹部と99人の歌舞伎俳優が舞台に並んで、招待客にあいさつした。国家太平、国土安穏、五穀豊穣を祈る『寿式三番叟』は、江戸時代から祝いの場で演じられており、第四期歌舞伎座の開場式(1951年)でも上演されている。

さらに、翌28日には「古式顔寄せ手打式」が行われた。興行主と俳優、音楽や大道具などの舞台関係者が一同に会し、歌舞伎興行の取り決めが定まったことを祝して手締めをする江戸時代以来の行事。今回は約210名が舞台に勢ぞろいし、開場を記念して特別に公開された。

27日の開場式で上演された『寿式三番叟』。左から「三番叟」役の尾上菊五郎さん、「千歳」役の中村梅玉さん、「翁」役の松本幸四郎さん。(写真提供=松竹株式会社)

開場式の舞台に並んだ松竹幹部と歌舞伎俳優(写真提供=松竹株式会社)

古式顔寄せ手打式は、新開場にふさわしい壮観さだった。(写真提供=松竹株式会社)

タイトル写真撮影=鴨志田孝一

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