訪日外国人に人気の観光スポット

海外で魅力を再発見された「梅田スカイビル&空中庭園」

文化

誕生から20年以上が過ぎていながら、近年、「空中庭園展望台」の入場者数レコードを更新している「梅田スカイビル」。一時は減少していた来場者が急増したのは、訪日外国人観光客からの人気が理由だ。最近は、海外での評価の高さを聞いて興味を持った日本人客も増えている。再ブレイクした梅田スカイビルと空中庭園の色あせない魅力を取材した。

大阪の街が一望できる斬新な設計の高層建築

40階建ての超高層ビル2棟を、最上部の「空中庭園」で連結させた先鋭的なフォルムで、大阪のランドマークとなっている「梅田スカイビル」(大阪府大阪市北区)。
この建物は、展望台の基本的な部分を地上で組み立てた後、ワイヤーで釣り上げて地上150~173mという高所で固定するという、リフトアップ工法を世界で初めて採用。建設技術においても画期的な試みがなされ、1993年に竣工した。

海外では「未来の凱旋門」と評されたという梅田スカイビル

梅田スカイビルの最大の魅力は、何と言っても「空中庭園展望台」。
まずは、39階にある空中庭園のエントランスまでの道のりからスリリングだ。3階から35階まで視界360度のエレベーターで一気に上昇し、そこから乗り込むのが空中に浮かんでいるような長さ45メートルもあるシースルーのエスカレーター。

左側の西棟に沿って上に伸びているのが、眺望を楽しめるガラス張りのエレベーター。空中エスカレーターは上りと下りの2本に分かれ、円形にくり抜かれた空中庭園にV字型に伸びている美しい構造

そうして到着する空中庭園は、さらに魅惑的だ。風を感じながら360度が見渡せるという、高層ビルでは珍しいオープンテラスの展望台。眺望も、西側は六甲山系や紀伊水道へと沈む夕陽が美しく、南側の夜景は乱立する高層ビルのネオンが輝き、共に「日本の夕陽百選」「夜景100選」に選ばれている。

南側の夜景は、乱立する高層ビルのネオンが彩る

海外からの高評価がきっかけで再ブレイク

意匠、建築、眺望、全て素晴らしい梅田スカイビルだが、一時人気が低迷していた。
その理由を、管理・運営する積水ハウス梅田オペレーション株式会社で企画広報を担当する高瀬奈々(たかせ・なな)さんはこう分析する。

「梅田スカイビルが竣工した1993年は、ちょうどバブル崩壊直後。その影響が大きかったのかもしれません」

確かに、その後も長引いた不況によって倹約ムードが続いた日本では、前衛的な高層ビルをバブルの残り香のように感じた人が多かったかもしれない。
93年7月のオープンから半年で約103万人、94年度は約108万人と、当初は客足も好調だったが、次第に入場者数は減少し、2003〜06年は年間50万人を割り込んでしまった。

完成から20年以上経っても、前衛的な建築の魅力は色褪せない

ただ、そうした状況下でも、管理者サイドでは悲観していなかったという。

「スタッフはみんな、梅田スカイビルのことを『素晴らしい建築物だ』と自信を持っていたので、もっと評価される日が必ず来ると信じていました。ですから、日本だけでなく、世界中の方に一人でも多く訪れてもらいたいとさまざまな努力を続けていたのです」(高瀬さん)

高層ビルでは珍しい、屋根や窓がないオープンな展望台。風を感じながら壮大な景観が望める

そんな願いが成就したのは、まさに海外での高い評価がきっかけだった。
08年、英紙『THE TIMES』で、アドレナリンが止まらないスリリングな演出の建築と美しい眺望が認められ、パルテノン神殿やタージマハール、サクラダ・ファミリアと並んで「世界の建築 TOP20」に選ばれたのだ。その後も、世界的人気を誇る英語旅行ガイド「ロンリープラネット」で、「大阪で一番のお勧めスポット」として紹介され、360度見渡せる展望台や空中エスカレーターが絶賛されている。
そうした評価が口コミやネットで広がり、海外の旅行客や建築愛好家たちに認知され、ブームが到来したのだ。

空中エスカレーターの内側。シースルーなので、まるで天に昇るよう︎!?

「08年以降、海外のお客様が急激に増えました。ちょうど同時期に、竣工15周年ということもあって、私たちも施設のリニューアルや集客に力を入れていたのが相乗効果になったと思います。その後は、どんどんお客様が増え続けて、14年には社内でも、『この調子で、また100万人の入場者を目指そう!』という雰囲気になったんです。それが、翌15年度には121万人も入場していただき、見事に達成することができました」(高瀬さん)

日没時は、夕陽が美しい西側のデッキが大人気になる

海外旅行客が押し寄せたおかげで国内客も増加

実際、梅田スカイビルを訪れると、外国人客の比率がとても高い。2015年度は6割だったが、16年度は7割に迫る勢いだという。
海外旅行客の訪問が増え、梅田スカイビルの状況はどう変化したのだろうか?

「以前は、夕景や夜景といった空中庭園からの眺望目当ての方が多かった気がします。でも、海外からのお客様は、梅田スカイビル自体を建築物として評価してくださる場合が多く、ビルの管理者としてはとてもうれしいです。また、『そんなに海外旅行客に評判が良いなら行ってみようかな』と日本人が興味を持ち、訪問してくれるケースも増えています。海外の方に梅田スカイビルの魅力を再発見してもらい、そのおかげで国内外両方のお客様が増えたと本当に感謝しています」(高瀬さん)

室内で飲食しながら眺望も楽しめる場所が、40階には多数用意されている

最近、関西国際空港に着いた観光客を乗せたツアーバスが、「まずは梅田スカイビルへ」と立ち寄るプランが増えている。大阪のランドマークから日本のランドマークになりつつあるともいえる。
海外から、「どうしても空中庭園でプロポーズがしたいので、手伝って欲しい」といった熱烈な問い合わせも寄せられる。本来そうしたサービスは行っていないが、客が手配した花束を受付で預かっておくなどの対応をして、プロポーズを手助けしたケースが多数あるという。
そうした人気によって、梅田スカイビルには1日中時間帯に関係なく、外国人観光客がひっきりなしに訪れている。そこで、高瀬さんに、特にお勧めの時間帯などがあるか聞いてみた。

「実際に、一番お客さんが多いのは夜景の時間です。空中庭園は午後10時まで入場できるので、昼間に他の場所を観光していた方が、『せっかく大阪に来たのだから、もう1カ所行こう』と訪れるのに便利なようです。夜は南側に広がる高層ビルのネオンが輝き、大都会・大阪の景色を満喫できます。眺望でいえば、西側には高いビルがなく、季節によって山や海に沈む夕陽がとてもドラマティックです。そして、建築物としての梅田スカイビルを楽しむには、細部までしっかりと見える昼間が一番。鏡仕立ての壁面は雲や空を映し込むので、建物は刻一刻と表情を変えていきます。つまり、どんな時間帯でも、梅田スカイビルは楽しめますので、何度も足を運んでいただけたら嬉しいです(笑)」(高瀬さん)

淀川が流れ、六甲山系が広がる西側。高い建物がなく、雄大な夕景が堪能できる

【施設データ】

梅田スカイビル
  • 地上40階 地下2階 高さ173m
  • 1993年3月竣工、7月グランドオ−プン
  • 事業主:積水ハウス株式会社、NREG東芝不動産株式会社、ダイハツディーゼル梅田シティ株式会社
  • 設計:原 広司+アトリエ・ファイ建築研究所
  • 大阪府大阪市北区大淀中1-1-88 googleマップ
  • JR大阪駅から徒歩7分、地下鉄御堂筋線梅田駅、阪急梅田駅から徒歩9分 阪神梅田駅から徒歩13分
空中庭園
  • 営業時間:午前10時〜午後10時30分(最終入場:午後10時)※時間を延長する特別営業日あり 休館日なし
  • エントランス:39階チケットカウンター
  • 入場料金:大人1000円、中高生700円、小学生500円、幼児200円、65歳以上800円(団体割引、障がい者割引有り)※クレジットカード使用可能
  • 他言語の対応:英語、韓国語、パンフレット・HPのみ中国語(繁体字)

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取材協力=梅田スカイビル 写真=三輪 憲亮 取材・文=ニッポンドットコム編集部

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