SNS

最新記事

ニュース

More

特集 日本最大の離島、佐渡へ行こう!
トキが品質保証する酒「北雪」
[2017.12.26]

酒造りに適した気候、水、米がそろう島、佐渡。数ある地酒の中でも、長い歴史を持ち、地元の人々に愛されてきたのが北雪酒造(ほくせつしゅぞう)だ。こだわりのある製造技術と経営方針から生まれた日本酒は、今や世界中のセレブからも愛されるオンリーワンの存在へと飛躍している。

佐渡島南西部の赤泊港近くに、趣のある店舗を構える北雪酒造。150年以上の歴史を持ち、佐渡を愛し、佐渡に愛されている酒蔵だ。

暖簾(のれん)をくぐり、蔵人(※1)の筑前芳美さんと会話を交わす。和風な店内からは想像できなかった、「売り上げの2~3割は海外輸出です」という言葉に興味をひかれる。しかも、「取り扱いは一つの飲食店だけなんですけどね」と言うではないか。

北雪酒造の店構え。奥には醸造所やタンク、貯蔵庫がある

世界最高峰のレストランが扱う唯一の日本酒

唯一の輸出先とは、世界中のセレブが愛する日本食レストラン「NOBU」。シェフの松久信幸氏が、俳優のロバート・デ・ニーロ氏と共同経営していることでも有名な店だ。その関係は、今から30年ほど前までさかのぼる。ロックミュージシャンの矢沢永吉さんがファンから贈られた北雪の酒にほれ込み、松久氏に薦めたことがきっかけだ。当初は、貿易会社を通じた普通の取引だったという。

北雪が造る「NOBU」ブランドの日本酒

北雪酒造5代目社長の羽豆史郎(はず・ふみお)氏が、初めて松久氏に直接会ったのは、まだ常務だった1994年のこと。場所は、ビバリーヒルズで一番人気の日本食レストラン『Matsuhisa』だった。

当時、北雪にとって海外市場は未開拓の世界であった。だが、松久氏は「自分の店だけに北雪の酒を輸出してほしい」と申し出た。北雪のあまりのうまさに、「自分だけの酒にしたい」という思いから出た言葉だった。すでに名声は高かった松久氏だが、経営する店は『Matsuhisa』と開店したばかりの『NOBU New York City』の2店舗のみの頃。その代わり、松久氏からは「今後、自分の店でも日本酒は北雪しか扱わない」という思い切った条件が出された。その人柄、心意気に打たれた羽豆氏は、男と男の約束だと、その場で握手を交わしたという。

北雪取締役の中川康夫さんは述懐する。

「海外で日本酒があまり飲まれていなかった時代のことです。おかんをして飲むのが一般的で、質の良い酒は輸出されていませんでした。そんな頃に、NOBUとのつながりが始まりました。今では、NOBUの料理に負けない日本酒を造ることが、私たちの大切な仕事となっています」

急な訪問にもかかわらず、穏やかに話をしてくれた中川取締役

現在のNOBUグループは、世界中で40店舗以上のレストランやホテル、レジデンスを運営するまでに成長。北雪の売り上げにも大きく貢献してくれている。羽豆社長と松久氏、デ・ニーロ氏との交流はより深いものとなり、デ・ニーロ氏は佐渡島に「サケ・アイランド」という愛称を付けたそうだ。

店内に飾られていた写真。左から羽豆社長、松久氏、デ・ニーロ氏

筑前さんは、自分たちが造った酒がどのように飲まれているかが知りたくて、ニューヨークのNOBUを訪れたことがある。

「高級な雰囲気に気後れしたのですが、店員に『北雪の蔵人なんです』と伝えたら、とても大切に扱ってくれました。いろいろサービスもしてくれて(笑)。離島の小さな酒蔵を、NOBUが大切なパートナーだと思ってくれていることが嬉しかったです。幸せな気分で、お客さんがおいしそうに日本酒を飲む姿を眺めていたら、自然と涙があふれてきました」

酒造りは楽しくて、やりがいがあるという筑前さん

(※1)^ くらびと。杜氏(とうじ)の指導のもと、酒造りにたずさわる職人

この記事につけられたタグ:
  • [2017.12.26]
関連記事
この特集の他の記事
  • 人間国宝「無名異焼 伊藤赤水」:佐渡が生んだ土と炎の芸術金山で知られる佐渡島の鉱脈付近から産出する赤土「無名異(むみょうい)」。それを陶土とする「無名異焼(やき)」の伝統を引き継ぎ、発展させているのが人間国宝の五代伊藤赤水(せきすい)だ。島の風土を巧みに取り入れ、独自の作品を生み出してきた赤水さんに、作陶の哲学とふるさと佐渡島に寄せる思いを聞いた。
  • 佐渡に移住した若夫婦:古民家民宿で島の魅力を伝える東日本大震災を契機に、東京から佐渡に幼子を抱えて移住した夫婦がいる。この島で、江戸時代に建てられた由緒ある古民家を改修し、民宿を始めた。若い2人は、自然に囲まれ、真の豊かさを享受しながら、佐渡の魅力を島内外に伝えている。
  • 黄金伝説を生み、日本を支え続けた佐渡金銀山400年近くにわたって採掘された金銀によって、江戸幕府の財政を支え、明治以降は日本の近代化の一翼を担った佐渡金銀山。経済面のみならず、佐渡の産業の発展や文化の普及にも大きな影響を与えた。現在はユネスコの世界文化遺産への登録を目指す、佐渡金銀山の歴史と遺構を紹介する。
  • 「金の島」佐渡を巡る東京から4時間弱で行くことができる日本最大の離島、佐渡島(さどがしま)。代名詞ともいえる「佐渡金山」の歴史を学べば、さらに滞在が楽しくなるだろう。佐渡独特の文化と金山の関わりと共に、美しい景観から、観光施設、グルメ、伝統芸能まで見所を紹介する。

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • ニッポンドットコム・メディア塾 —ジャーナリストを志す皆さんに
  • シンポジウム報告