住宅探訪(7) 三層のデッキがある家
文化 暮らし
建築家にとって、周囲の環境と居住空間の関係性は重要なテーマだ。もし家の隣に公園という公共スペースがあったら...? 住人のプライバシーを守りながら、公園の緑を大胆に取り込む発想で、ユニークな空間が生まれた。
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親子4人が暮らすこの家は、東京西郊・小平市の住宅街にある。もとは市の中心街のマンションに住んでいたのだが、そろそろ一戸建てが欲しいと考えたご主人。ちょうど両親がマンションに移りたいと思っていたので、互いの住居を交換し、古い実家を建て替えて住むことになったという。建築家に出した要望は、広いテラス、開放的な共有スペース、大きな本棚があることだった。
家の最大の特徴は、隣接する公園に面した三層のデッキだ。一階のデッキは、やや高床式になっており、公園側の生垣越しに家の内部が見えないよう工夫されている。各層のデッキは高さのある囲いで三方向を覆い、通りや隣家から目隠しする一方、公園側はすき間のあいたフェンスだけで風通しと見晴らしをよくしてある。
一階は寝室、書斎、トイレ、バスルームを配したプライベートな空間、二階はキッチン、ダイニング、リビングのあるオープンな共有スペース、というふうにフロアの用途を分けた。玄関からリビングへと向かう階段に一体化して、大きな書架が据えられている。屋上からは周囲の緑を一望でき、天気のいい日には富士山も見える。
この家ができてからは、外出することが少なくなったという。その代わり、週末になると友人たちを招き、移りゆく季節をデッキで存分に味わいながら、ゆったりとした交流の時間を過ごす。
動画:デッキの家
© Fabien Mauduit & Véronique Hours
撮影=ジェレミ・ステラ(2013年) © Jérémie Souteyrat
文=ヴェロニク・ウルス/ファビアン・モデュイ(原文フランス語)