原子力用語集

【放射能関連】

●被ばく
身体に放射線を浴びること。体の外から放射線を浴びる「外部被ばく」と、食物などを通じて体内に入った放射性物質から放射線を浴びる「内部被ばく」がある。外部被ばくは放射線を浴びている間だけだが、内部被ばくは放射性物質が体内にある限り影響を及ぼすため、危険度が高い。

●放射線・放射性物質・放射能
放射線とは、原子核から高速で放出される電磁波や粒子のこと。透過力が弱い方から、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線などがある。大量に浴びると有害だが、レントゲン撮影やジャガイモの発芽抑制などにも活用されている。放射線を出す物質を放射性物質または放射能と呼ぶ。

●半減期
放射性物質は、放射線を出しながら安定した原子に変化するが、原子核の半分が崩壊するまでの期間を半減期という。半減期が短いほど、放射線を出す期間が短い。原子力発電で使用されるウランの核分裂により、放射性ヨウ素、セシウム、プルトニウムなどの放射性物質が生成されるが、放射性ヨウ素の半減期は8日、セシウム137は30年、プルトニウムは2万4000年。

●ベクレル
放射線の強さを表す単位。放射性物質は原子核が崩壊して安定した物質に変化する際に放射線を出すが、1秒間に原子核が崩壊する量を表す単位がベクレル。記号はBq
かつては、放射線の強さを示す単位としてキュリーが使われていた。1キュリーは370億ベクレル(3.7×1010Bq)。記号はCi

●グレイ
人体や物質に吸収される放射線エネルギーの単位。吸収線量という。記号はGy

●シーベルト
放射線が人体に与える影響を表す単位。記号はSv
人間の体全体や各臓器が、放射線から受けたエネルギー量(吸収線量、グレイで示す)を、受けた放射線の種類、受けた体の部位を評価して換算する。
放射線の強さから、人体への影響を図る場合には、ベクレルからシーベルトに換算する。放射性物質の種類ごとに換算式が定められており、例えば、1万ベクレルの放射性ヨウ素を体内に取り込むと、大人の被ばく量は0.22ミリシーベルトとなる。

【原子力発電所】

●軽水炉
米国で開発された発電用原子炉。世界の原子炉の約80%がこの形。原子炉圧力容器の中をすべて水(軽水)で満たし、核分裂による熱エネルギーを取り出す。水は中性子の減速材および、核分裂によって発生した熱エネルギーをタービンに伝える媒体(冷却材)として使用される。

●ベント
原子炉格納容器内の水蒸気の圧力が高まった際に、爆発の危機を回避するために放射性物質を含む蒸気を外部に逃す「ベント(排気)」と呼ばれる措置を取る必要がある。福島第一原発ではこのベントの作業が遅れたために被害が拡大したともいわれる。
原子炉には、容器や配管に溜まったガスを放出するための弁が取り付けられている。

●圧力抑制室
原子炉格納容器の下部に設置された格納容器内の圧力が蒸気等で上昇した場合、蒸気を圧力抑制室内に導いて冷却することで原子炉格納容器内の圧力を低下させる設備。福島第一原発2号機では、圧力抑制室が損傷した。

●水素爆発
空間内の水素濃度が高まり、酸素と激しく反応し爆発すること。燃料棒に使用されているジルコニウムが水と反応して原子炉内に水素が発生。原子炉建屋内に水素が漏れ出し、建屋内の水素濃度が高まり爆発したとみられる。一方、1号機では原子炉格納容器内の水素濃度が上がったことから、窒素を注入して爆発予防に努めている。

●冷温停止
原子炉の核分裂反応が停止し、炉内の温度が100度未満となり原子炉が安定的に停止した状態。冷態停止、低温停止ともいう。

●プルサーマル
ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を従来のウラン燃料と同様に軽水で利用すること。福島第一原発では2010年10月から3号機でプルサーマル運転が行われていた。プルトニウムを軽水炉などの熱中性子炉(thermal reactor)の燃料に利用することからこの名前が付いた。

【日本の原子力行政】

●原子力委員会
原子力行政の民主的な運営を図る組織として、1955年12月に制定された原子力基本法に基づき、翌56年1月1日に総理府(現内閣府)に設置された。原子力の研究、開発、平和利用について企画、審議、決定を行う。世界各国にも同様の機関がある。

●原子力安全委員会
原子力の安全確保体制を強化するため、1978年、原子力委員会の機能のうち安全規制を独立して担当する原子力安全委員会が設置された。原子力安全行政のため、安全審査指針、基準類などの作成を行うほか、経済産業省の原子力安全・保安院や文部科学省が原子力関連施設に対して行う安全規制についてのチェックも行う。

●原子力安全・保安院
原子力発電所や核燃料サイクル施設に対する安全規制を担当する行政機関。2001年に経済産業省からほぼ独立した形で設置された。東京電力など電力各社を所管する。原子力発電所に対しては、内閣府の原子力安全委員会と、原子力安全・保安院とのダブルチェック体制がうたわれていたが、福島第一原発事故に際しては逆に縦割り行政の弊害が指摘された。