被災者支援・復興・原発・電力制限にどう立ち向かうか【成相 修】

エコノミストの成相修氏が、日本が直面する4つの課題を提示する。

エコノミストの成相修氏が、日本が直面する4つの課題を提示する。

いま直面する4つの課題

東日本大震災から一カ月が経つ。人的損失は予想をはるかに上回り、3万人を超えた。インフラ、企業の生産設備など経済社会活動の基盤も失われている。いま直面する大きな課題は4つだ。①被災者の生活支援②復興に向けた長期計画の策定③世界に広がる「フクシマショック」をどう鎮めるか④東電の電力供給不足-である。

義捐金を早期に配分すべきである

地震、津波によって生活基盤を失った被災者、放射能拡散の恐れから生産活動を妨げられている人々、避難者に対する緊急の支援である。仮設住宅の建設が遅れている。公共投資の削減でプレハブ住宅需要が減少、国内の供給能力が低減しているためである。輸入を早急に拡大すべきである。雇用問題はより深刻である。船舶は水産業にとって資本ストックであり、大きな損害を受けた漁師は所得の機会を失った。放射能問題で「出荷制限」を命じられた農家・酪農家に対して、早急に生活費の支援を行うべきである。そのためにも、内外から寄せられている義捐金を早めに被災者に手渡すべきである。

一元的に責任持つ部局、責任ある人材を

復興に向け新たな防災理念を日本中の知恵を集めて確立するときである。従来型の縦割り行政の中で、「復興」に名を借りたハコモノ重視の資金配分を行ってはならない。今後10年を見据えた復興のために、一元的に責任を持つ部局の創設と責任を取れる人材が求められる。

「フクシマショック」をどう鎮めるか

放射能漏れに対する世界の反応は敏感である。これまで安全性を売りものにしていた日本の農産物の輸出が止まり、観光産業は外国人旅行者の激減に直面している。東電、政府の初動判断と情報提供についても批判がある。内外の経験とスキルを総動員して放射能漏れにめどを付けなければ日本への信頼は失墜する。その経済的損失は計り知れない。

電力不足には価格機能活かす知恵を

夏季の電力需要に対して、20-30%程度の供給制限を実施することは、生産拠点の移転を促進させるだろう。節電といった精神運動だけでは克服できない。価格機能を活かすよう知恵を絞るときである。「昼の電力料金引き上げ・深夜料金の引き下げ」を活用して、ピーク時の電力需要を下げるべきである。いたずらに自粛を強いることは日本経済全体の活力をそぐ。経験と知恵を活かす時である。

(4月5日 記す)

成相 修

成相 修
Nariai Osamu

麗澤大学国際経済学部教授。1972年東大経済学部卒業、99年東北大学大学院国際文化研究科博士課程修了。経済企画庁調査官、OECD(経済協力開発機構)エコノミスト、JICA(国際協力機構)専門家(ブルネイ国に派遣)等を経て現職。