台湾で「英雄」となった知られざる日本人

門田 隆将【Profile】

[2017.01.23] 他の言語で読む : 繁體字 |

「なぜ台湾の人々は、日本のことが好きなんだろうか」

そんな素朴な疑問を持つ日本人は少なくないだろう。台湾の各種のアンケート調査で、「最も好きな国」を問うと、いつも1位は「日本」である。それも、単数回答方式だと、2、3位を争う中国やアメリカに「10倍」もの大差をつけて日本がトップになる。

これらの圧倒的な差は、言うまでもなく、気の遠くなるような時間をかけて築いてきた日本人と台湾人との信頼の大きさを物語っている。では、台湾の人々は、なぜそこまで日本と日本人を信頼してくれているのか。

私は、その答えを示す1人の「英雄」の生涯を描いたノンフィクション作品を2016年12月、上梓した。それは、私にとって長年の悲願でもあった。

汝、ふたつの故国に殉ず―台湾で英雄となったある日本人の物語』(角川書店)である。

「湯徳章紀念公園」にある徳章の胸像(撮影:小森 利恵)

この本は、台湾の出版社「玉山社」が原稿段階で翻訳を行い、ノンフィクションとしては、史上初めて「日台同時発売」となったものだ。

それには、理由がある。主役である「坂井徳章(台湾名・湯徳章)弁護士」は、台南市で命日が「正義と勇気の日」に制定されており、多くの台湾人の命を救った人物として、広く知られている。台湾で、その「死」がこれほど惜しまれている日本人は、なかなかいないのである。

彼の生涯をたどれば、なぜ台湾人は日本と日本人に好意を持ち、尊敬さえ抱いてくれているのか、分かってもらえるのではないかと思う。理解するためのキーワードを挙げれば、かつての日本人の毅然(きぜん)とした「生き方」と「潔さ」、そして、「思いやり」と「勇気」である。

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  • [2017.01.23]

ノンフィクション作家。1958年生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社に入社。週刊新潮編集部で記者、デスクなどを経て、2008年4月に独立。主な著作に『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社/2010年、山本七平賞受賞)、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所/2012年)、『慟哭の海峡』(角川書店/2014年)および『汝、ふたつの故国に殉ず―台湾で英雄となったある日本人の物語』(角川書店/2016年)などがある。門田隆将オフィシャルサイト

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