知ればもっとおいしくなる にっぽん食べ物図鑑

みそ汁だけじゃない!味わい深い「味噌」のお料理コレクション

文化 暮らし

味噌は北から南までどこでも造られている、地方色豊かな調味料。各地の特産物と結びつき、さまざまな伝統食・郷土食を生んでいる。

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→「味噌(みそ):大豆を発酵・熟成させた和食の基本調味料

味噌汁

和食で汁物といえば味噌汁。日本人のソウルフードといっても過言ではない。具材の組み合わせも、どの味噌を使うかも自由なので、バリエーションは無限大!

左から、上段「麩(ふ)とワカメ」「伊勢エビとアオサノリ」「シジミ」、下段「なめことネギ」「豆腐とワカメ」「豚汁」(PIXTA)
左から、上段「麩(ふ)とワカメ」「伊勢エビとアオサノリ」「シジミ」、下段「なめことネギ」「豆腐とワカメ」「豚汁」(PIXTA)

石狩鍋 / 牡蠣(かき)の土手鍋

寒い季節に食べたくなる鍋物。北海道の「石狩鍋」と、広島県の「牡蠣の土手鍋」は味噌仕立て鍋の代表選手だ。石狩鍋は、味噌を溶いただしで、北海道特産のサケや野菜などを煮込む。土手鍋は、鍋のふちにぐるりと塗った味噌(土手)を崩しながら、広島名物の牡蠣と野菜を煮る。たくさんの具材を煮込むことで、味噌汁より深みのある味が生まれる。

石狩鍋(写真提供:北海道観光機構)
石狩鍋(写真提供:北海道観光機構)

サバの味噌煮

サバの切り身を味噌などの調味料で煮込んだ家庭料理。こってりした味付けがご飯に合う、定食屋の人気メニュー。

味噌煮込みうどん

愛知・三重・岐阜の東海3県民にとって味噌といえば「八丁味噌」。2年以上熟成した豆味噌は大豆のうまみが凝縮し独特の風味がある。赤味噌に分類されるが、色はほぼ真っ黒。この味噌で仕立てた汁に、コシの強いうどんを入れて煮込む。

味噌煮込みうどん(写真提供:(公財)名古屋観光コンベンションビューロー)
味噌煮込みうどん(写真提供:(公財)名古屋観光コンベンションビューロー)

ちなみに八丁味噌の名は、岡崎城から西へ八丁(約870メートル)の八帖町(旧八丁村)で作られていたことから。江戸時代と変わらぬ製法で造り続ける蔵元が、道を挟んで向かい合っており、「八丁味噌」を名乗れるのはこの2軒の味噌だけだそう。

味噌おでん

豆腐やこんにゃくなどに味噌を塗って焼いた「田楽」を発祥とするおでん。全国にご当地流が存在するが、東海3県民は八丁味噌で食べるのが定番だ。伝統的な作り方は味噌だれの入ったつぼを鍋の中央に置き、その周りで具材を煮て、たれを絡めるもの。最近は豆味噌を溶いただしの中で煮る「味噌おでん」もある。

味噌おでん(写真提供:(公財)名古屋観光コンベンションビューロー)
味噌おでん(写真提供:(公財)名古屋観光コンベンションビューロー)

西京焼き / 味噌漬け焼き

関西圏では白味噌文化が定着している。中でも京都の伝統的な「西京味噌」は、白味噌の代名詞的な存在だ。この甘くまろやかな味噌に酒などを加えて味噌床を作り、魚の切り身や厚切りの肉を漬け込んで焼いたものが「西京焼き」。それだけで料理として通用するほど名が通っている。他の地方では、西京味噌以外で作る味噌床も一般的だ。

(PIXTA)
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白味噌の雑煮

正月に食べる雑煮は、地域により具材や味が異なる。京都・大阪を中心とした関西圏では、白味噌仕立てにして丸餅を入れる。近畿・四国地方の一部でも、雑煮は白味噌が好まれる。

(PIXTA)
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花びらもち

白インゲン豆などで作った白あんに、少量の白味噌を混ぜた「味噌あん」は、ほのかな塩気がきいた深みのある味わい。味噌あんと甘く煮たゴボウを求肥(ぎゅうひ)で包んだ「花びら餅」は新春を祝う和菓子として人気。

(PIXTA)
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調査・構成:イー・クラフト

バナー写真:サバの味噌煮(PIXTA)

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